調査会社IDCによると、英国でのオンライン音楽配信サービスの普及を妨げている要因は、高めの価格設定とデジタル権利管理システム同士の非互換性にあるという。
IDCの欧州コンシューマデバイス部門で上級調査アナリストを務めるJason Armitageは、iTunes Music Storeのようなサービスが増えているにもかかわらず、英国のユーザーは選択肢が増えたり価格が下がったりするなどの恩恵を受けていないと述べた。
「サービス提供者間の競争が激化したにもかかわらず、サービス加入料、アルバムや楽曲の価格は、依然として高いままだ。現在、英国では、利用できる加入サービスの種類が限られていて、選択肢が少ない。これらのサービスでは月額利用料が不当なまでに高く設定されている」と、同アナリストはリサーチレポートに記している。
Armitageによると問題の一因は、音楽をデジタルフォーマットで販売することで得た利益をレコード会社が顧客に還元していないことにあるという。
「流通や梱包にかかるコストを節約できるのだから、ダウンロード形式のサービスでは商品をもっと安く提供できるはずだ。その証拠として、ダウンロードサービスでは人気のないアルバムについて価格をチェックしてみるとよい。2005年時点において、英国のダウンロードサービスは、オンラインアルバムを同じ内容のCDより30〜45%安く販売している」と、同氏は記している。
オンライン音楽市場において世界一の地位を誇るiTunes Music Storeを運営するApple Computerの最高経営責任者(CEO)Steve Jobsもこの問題に悩まされている。9月初めのApple Expoで講演したJobsは、オンライン音楽ストアはレコード会社からの値上げ圧力に抵抗しているところだと述べた。
「レコード会社はCDの販売よりも、iTunesで儲けている。彼らはiTunesでの販売価格に不満なようだが、消費者には、これが単に欲の皮が突っ張っているようにしか映らず、歓迎されないだろう。値上げは不正コピーが横行した時代に戻ることを促すだけで、決して好ましいことではない。大幅値上げを敢行すれば、利用者は再び不正コピーに走るだけだ。誰の利益にもならない」とJobsは述べた。
IDCのArmitageは、オンライン音楽ストアは利用者を呼び戻すために、価格と、音楽プレイヤー同士の互換性の両面から、ユーザーエクスペリエンスを改善する努力をするべきだとも述べた。
携帯音楽プレイヤーやビデオ装置などの互換性問題は、Electronic Frontier Foundationを含むいくつかの団体から批判を浴びている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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