jig.jpは9月30日、携帯電話からPC用サイトが見られるフルブラウザ「jigブラウザ」の新版である「jigブラウザ2」のベータ版を公開した。プラグインに対応し、ユーザーが自由に機能拡張できるようにした点が特徴だ。
jigブラウザ2ではアプリ内にJavaアプレットを実行するJavaVMを搭載した。Javaアプレットは「jiglet」という名称で、jig.jpが用意する。これまでjigブラウザに内蔵されていたRSSリーダーやメーラー、ゲームなどの機能をjigletとして提供し、ユーザーが自由に機能を追加、削除できるようにした。
jigブラウザ2を起動した際に表示されるトップ画面(待受画面)。PCのデスクトップ画面のようになり、RSSリーダーなどの各機能がアイコンで表示される(画面は開発中のものであり、変更の可能性もある)
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機能をプラグイン化した理由について、jig.jp代表取締役社長の福野泰介氏は「携帯電話のJavaアプリケーションの場合はアプリ容量に制限があり、今後の機能拡張が難しくなってきたため」と説明する。最もアプリ容量が大きいNTTドコモの90xiシリーズやJava対応のau端末でも最大アプリ容量は100Kバイトとなっている。現在のjigブラウザではすでにアプリサイズが100Kバイト近くになっているため、これ以上機能を追加できなくなっているのだ。
ただし、携帯電話ではアプリ本体のメモリとは別に、アプリで利用するデータを保存するためのメモリ領域が用意されている。NTTドコモの場合、このデータ保存領域のサイズは400Kバイトとなっている。jig.jpはここに目を付けた。Javaアプレット(jiglet)をデータ領域に保存し、jigブラウザ2に内蔵したJavaVMを使って必要なJavaアプレットを適宜読み出す仕組みにしたのだ。
これにより、Javaアプリの容量制限を気にすることなく、さまざまな機能がjigブラウザ2では利用できるようになる。jigletはユーザーが好きなものをjig.jpのサイトからダウンロードしてインストールすればよい。なお、1つのjigletは5〜10Kバイト程度という。
また、各機能をブラウザアプリと切り離したことで、新機能のリリースも簡単になったと福野氏は話す。これまでは携帯電話の端末ごとに動作を検証した上でjigブラウザのバージョンアップとして新機能として提供していた。しかし、jigブラウザ2ではJavaVM上でjigletがきちんと動作するかどうかを検証すればよく、1回のチェックで済むようになったのだ。さらにブラウザのバージョンアップとは別にjigletだけを公開できるようになったため、ユーザーの要望に合わせて素早く新機能をリリースできるようになるという。
jig.jpではプラグインに対応した携帯電話用のブラウザとして、jigブラウザ2の特許を出願する方針だ。
また、jigletの仕様を公開し、Javaの開発環境があれば誰でもjigletを開発できるようにする。jig.jpではjigletを紹介するページを作る予定だが、開発者は自分のサイトでjigletを公開することもできる。これにより、jigブラウザ2の機能拡張を加速する狙いがある。
対応端末はドコモの90xiシリーズとauのEZアプリ[Java]Phase3対応端末となっている。
jigブラウザ2はjig.jpのモバイルサイトからダウンロードできる。ただし、利用できるのはjigブラウザの有料会員のみ。jigブラウザのお気に入りはjigブラウザ2に引き継ぐことができ、PC用のタブブラウザであるSleipnir 2.00とブックマークを同期できる機能もある。
jig.jpがjigブラウザの機能拡張を急ぐ背景には、無料のフルブラウザアプリの登場や、ドコモなどの通信事業者がフルブラウザを搭載した端末を販売していることが挙げられる。jigブラウザが登場した2004年10月ごろとは市場環境が大きく変わってきているのだ。
jigブラウザは利用料金が月額630円または年額6000円と一般のアプリに比べて高額だ。現在の有料会員数は約2万5000人となっているが、1年契約をしたユーザーの契約期限が切れはじめるため、無料のフルブラウザアプリなどに顧客が流れる恐れがある。機能拡張を進めて利便性を高めることで、顧客の維持・拡大を狙っている。
同社では今後、jigブラウザ2やjigletの開発に注力する。jigブラウザのバージョンアップはバグ修正程度で、新機能の追加はしない予定という。ただし、引き続きjigブラウザの販売やサポートは行うとしている。
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