Googleは米国時間11日、著作権が保護されている図書館の書物をスキャンしてデータベース化する取り組みを、一時的に中止する予定であることを発表した。
2004年12月に始まったこのLibrary Projectは、絶版となった著作権物をスキャンし、Googleの検索エンジンデータベースに登録して検索可能とするもの。Googleは、スタンフォード大学やハーバード大学といった複数の大学の図書館と協力して、プロジェクトを進めている。
同プロジェクトに対しては、出版社を含む一部の組織から、Googleが行おうとしていることは著作権の侵害だとする批判が出ていた。
米国時間11日、Googleは同社のブログで、「出版社、出版業界団体および著者」と協議した結果、11月に「Google Print Publisher Program」を変更するまでの間は、著作権物のスキャンを見合わせることにしたと述べた。
Publisher Programには、著作権のある書籍をスキャンする取り組みも含まれている。こうした書籍のスキャンは出版社の要請に応じて行われ、ウェブ検索をするユーザーはその抜粋や評論、またその他の書籍データを調べられるようになるという。検索結果には、出版社のウェブサイトや、その書籍を購入することのできるサイトへのリンクが張られる。
GoogleはPublisher Programを変更して、Library Projectでスキャンされ、Publisher Programに追加することを許可する対象書籍のリストを出版社が提出できるようにするとしている。さらに、Library Projectでスキャンしてはいけない書籍のリストも明示できるよう、Publisher Programを修正するとのことだ。
「多くの出版社や著者がPublisher Programに参加し、世界中の膨大な読者にみずからの作品を紹介していくことを選択するだろう。だが、すべての人がこれに賛同するわけではないことを当社は認識しており、そうした人々の考えを尊重するため、最善を尽くしたいと考えている」と、Googleはブログに記載している。
とはいえ、Googleの取り組みは、同プロジェクトに対する出版社の懸念を完全に払拭するにはほど遠いものだった。
Association of American Publishers(アメリカ出版社協会:AAP)のCEOであるPatricia Schroederは、「Googleが行おうとしている手続き上の変更は、著作権侵害を防止する責任をユーザーから権利保持者に移行するものであり、あらゆる著作権法の原則を覆すものである」と、声明を発表して主張している。
「GoogleのPublishers ProgramにはAAPメンバーの多くが参加しており、ライセンスに従うか、出版社の許可がある場合は、限定的に一部の書籍をデジタル化することを認めて、検索ができるようになっていた。われわれはGoogleと互いに協力することで、各方面で機能する新たなシステムを構築できると自信を持っていたが、わたしたちの提案をGoogleが受け入れなかったことは実に残念だ」(Schroeder)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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