サンフランシスコ--GPL(General Public License)の次期バージョンについて、そのドラフトを2006年初めに公開し、一般の意見を募るべきだ・・・オープンソースプログラムの基礎をなすGPLの更新に取り組む中心人物がそう主張している。
コロンビア大学法学部教授で、フリーソフトウェア財団(FSF)の法律顧問も務めるEben Moglenは、サンフランシスコで開催中の「LinuxWorld Conference and Expo」で行なわれたインタビューのなかで、2007年初頭に完成予定のGPLバージョン3について、ドラフトを公開することで公の場での議論を開始するべきだ、と語った。
「GPL 3策定プロセスは、最初の試案に関して、2006年の最初の数週間に行なわれる議論から始まると私は考えている」とMoglenは述べ、さらに「最終的には、誰もが気に入るわけではないが、誰もがおよそ1年後に受け入れる用意のあるライセンスが完成することを望んでいる」と語った。
この議論がMoglenの構想通りに進めば、GPLの新版が完成するだけでなく、世界中の非常に異なる経歴を持つグループの結束強化にもつながることになる。
Moglenは、「(オープンソース)コミュニティ(に参加する人々)は、このコミュニティがいかに巨大であり、いかに多様な人々が集まっているかが分かるだろう」と述べ、さらに「全てが終了した時、われわれはより優れたライセンスと、より強力なコミュニティを手に入れているだろう」と語った。
しかし、その議論が常に穏やかなものになるとは限らない。オープンソース/フリーソフトウェア問題の政策および哲学に関する議論は、宗教のような熱を帯びるケースが多い。
Moglenは、この議論が広範囲に及ぶと見ている。同氏は、Linuxカーネル、Debian Linuxなどのプロジェクトについて議論している各団体の規模から見て、15万人の個人と8000の組織が(GPLバージョン3に関する)議論に参加すると予想している。
現在のGPLバージョン2は1991年にリリースされたもので、GPLを管理するFSFが、ソフトウェア分野における最近の発展に合わせて同ライセンスの調整に乗り出していた。
GPLの作成者であり、FSFの代表を務めるRichard Stallmanは、GPLバージョン2からの主な変更点として、ソフトウェア特許への対応強化、一部のネットワーク化された環境および厳重に管理されたハードウェアにおけるGPLソフトの使用方法の明確化、GPLに基づいて配布されているソフトとそれ以外のライセンスの下で配布されているソフトの混合を阻んできた障害の緩和を挙げている。
GPLの下で配布されているソフトは、誰でも自由に閲覧/修正/変更/配布が可能だ。GPLは、オープンソースソフトウェアの開発プロジェクトを管理するライセンスとして、最も広く利用されている。
GPLが作られたそもそものきっかけは、Stallmanが進めていたUnixの複製品であるGNU(Gnu's Not Unix)を作る取り組みの根底にあった学問的、哲学的な好奇心であった。その取り組みは、プロプライエタリなUnixの制約によって妨げられることはなかった。それ以来、GPLは、特にLinuxやその他のオープンソースプロジェクトの商品化とともに、無数の企業のコンピューティングインフラの中核となった。
しかし、大規模な見直しが行なわれることを期待すべきではない、とMoglenは語る。
「全てが終了した時、人々は『これだけ議論を重ねてきて、変更されたのはこれだけか』と不満を漏らすだろう。皆、大幅な変更を望んでいたが、各自が思い描いていた変更点が異なっていたことに気付くだろう」(Moglen)
Moglenの今後の取り組み方は控えめなものになるだろう。「GPLの作成/変更に取り組む上で、最も重要な原則は常にヒポクラテスの誓いだった。われわれは損害を与えない。(ある変更が)意図しない結果を招く可能性があると考えた場合、われわれはその変更を勧めない」とMoglenは述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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