Mozilla Foundationが、同グループのオープンソース製品の開発/流通を担当する営利目的の子会社の設立を決めたことに対し、IT業界は前向きな反応を示している。
Mozilla Foundationは米国時間3日、同財団の完全子会社「Mozilla Corporation」を設立すると発表した。これにより、同財団はより自由に営利活動を行えるようになる。
RedMonkのアナリスト、James Governorはこの動きを高く評価し、FirefoxブラウザなどMozillaのオープンソース製品を利用する企業が増えるだろうと語った。
「これはかなり重要な1歩だ。Mozillaが企業を相手とするビジネスを展開したいのであれば、Mozilla自体も企業である必要がある。企業は企業との取引を好むからだ」とGovernorは説明する。「成功しているオープンソース組織は、ほとんどが何らかの営利組織を設けている」(Governor)
Forrester Researchのアナリスト、Michael Gouldeは、オープンソースのソフトウェアを営利組織が取り扱うようになれば、多くの場合、企業は安心してプロプリエタリなソフトウェアから移行できるようになると述べている。
「オープンソースプロジェクトは、長期的な確実性を欠いた、有志による自発的な取り組みから、顧客が戦略的に採用しやすいモデルへと変化を遂げつつある」とGouldeは言う。「Mozilla Foundationの決断はこの方向性に非常にマッチしている。つまり、営利組織を使って収益の流れを作り、プロジェクトの活動を未来へつなげていくための専門スタッフを置けるような体制を整えているのだ」(Goulde)
Mozillaコミュニティからの反応も、今までのところおおむね良好で、Mozillaスタッフのブログには今回の動きを賞賛する数多く寄せられている。Mozillaの開発に参加するDavid Hallowellも、これは良い動きのように思えると語り、新会社がソフトウェアのライセンス条件を変える心配も無いと付け加えた。
「Mozillaのソースコードが今後どうなるかを心配する人がいるとは思うが、今回の件に関しては全く心配ない。コードはオープンライセンスの下で公開されており、ライセンスが変更される場合は、その変更について膨大な数の開発者全員が合意しなければならないからだ」(Hallowell)
オープンソースコミュニティの一部には、今回のMozillaの動きに、思想的な面から疑問を抱く人間もいる可能性があるが、RedMonkのGovernorはこれを批判する人間はほとんど出ないと予想している。
「Mozillaが営利組織に変わってしまうといって絶望するオープンソースオタクがたくさんいるとは思わない」(Governor)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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