Bush政権は米国時間6月30日、米政府がインターネットの支配権を他のいかなる組織にも譲渡しないと発表した。この衝撃的発表の波紋は世界中に広がりそうだ。
現在、米政府はインターネットの「根幹」ともいえる、承認済みトップレベルドメインをリストアップしたマスターファイルの支配権を維持している。政府はかつて、その責務を非営利団体Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)に移譲することを示唆していた。
商務省 電気通信情報局(NTIA)のMichael Gallagherが概要を示した新原則によると、米政府は「権威あるルートゾーンファイルの変更/修正の承認において、現在同政府が果たしている歴史的に重要な役割を今後も維持し」、さらに、ICANNに対する「監視」を継続し、同機関にはあくまで技術的調整にあたらせるという。
Gallagherが行った発表は、Bush政権がICANNを今後も米政府の管理下に置きたいと考えていることをうかがわせる。しかも、この発言はルクセンブルクで開催予定のICANNの次期会合のわずか数日前に行われた。ICANNは、予算が2003年の700万ドルから現在の1600万ドルへ大幅に増えたことから批判の的となった。
また6月30日の米政府の発表は、11月にチュニジアで開催される世界情報社会サミット(WSIS)で終了する国連による一連の取り組みに対する反抗の意味合いもある。サミット参加国の間からは以前から、貧しい国々にインターネットの運営方法に関してもっと発言させるべきだ、との不満の声が上がっていた。
ある面で、Bush政権の発表は象徴的な内容といえる。理論的には、米国は国コードの承認や管理/運営に影響力を及ぼし得るが、同国が手続き的変更を行うことなどまずあり得ない。しかし、この米国の独断的な取り組みが、米国の持つインターネットへの影響力を批判してきたパキスタンやブラジルなどの国々を悩ますことになるのは間違いない。
欧州のある国の政府の報告書によると、米商務省は5年前に欧州委員会(EC)に対し、「ICANNに関して米商務省が保持するこれらの権力は効果的に除去されるべきだ」と語ったという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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