米で公共ISPサービスの是非を問う議論が白熱

Declan McCullagh, Anne Broache(CNET News.com)2005年06月27日 12時25分

 ワシントンDC発--ペンシルバニア州のフィラデルフィア市当局が昨年、ダウンタウンの居住者に無線アクセスサービスの販売を決定した際、同市では激しい政治闘争が勃発した。

 米国最大の地域電話会社Verizon Communicationsがこの計画に強硬に反対する一方、リベラル派の市民団体は同計画を強く支持し、結局同市の政治家らは、市側の希望を事実上認める妥協法案を可決した。

 その後、この政治論争は、各州からワシントンDCへと拡大した。ワシントンDCではロビイストらが議会に対し、インターネットサービスプロバイダ(ISP)としてより優れた仕事をするのは果たして各州政府か民間企業かという問題を解決するよう圧力をかけている。

 22日には、両陣営ともにこの問題を米国商工会議所に訴えた。商工会議所は、市が資金提供して構築される無線ネットワークの利点に関する討論会を主催し、およそ50人の人々がこれに参加したが、ただしその大半は連邦政府職員だった。

 フィラデルフィア市の最高情報責任者(CIO)、Dianah Neffは、「われわれのサービスは、低所得者層やマイノリティが住む地域の75?85%の住民を対象にしている。これらの地域では民間のインターネットサービスが利用できない」と述べ、「彼らと話をし、また聞き取り調査を行なったところ、その時点で76%の人々が、インターネットを利用しない最大の理由として料金の高さを挙げた」と語った。

 フィラデルフィア市は、2006年夏までに135平方マイルのエリアで低料金の無線アクセスサービスを利用できるようにする計画を進めている。Neffによると、推計1000万ドルかかるこのプロジェクトにより、同市は最終的に通信コストを200万ドル削減でき、理論的には、それを別の社会計画に振り向けることが可能だという。同氏は、各都市がこの計画を実行する必要があるとし、その理由として、「われわれは家族や子供たちが21世紀の競争に勝ち抜くために必要な能力を確実に身につけられるようにしたいと考えている」ためと説明した。

 しかし、ノースウエスタン大学法学部のJim Speta助教授によると、仮に全ての低所得者層の人々がインターネットを利用できるようにすることを第一の目的とするのであれば、各都市は消費者の需要を喚起することにより、コストを低く抑えられる可能性があるという。具体例としては、低所得の消費者らにクーポンを配布し、民間のブロードバンドサービスの料金支払いに利用できるようにすることなどが考えられる。

 「行政が保有するより民間が保有した方が効率が良いことは明白だ」(Speta)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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