Los Angeles Timesは、読者が同紙の社説を書き換えることのできるウェブサイトを米国時間17日に立ち上げ、実験を試みていたが、節度を欠いたメッセージや写真が数多く投稿されたとして、同サイトの閉鎖に踏み切った。
同サイトは、人気の高い百科事典共同執筆プロジェクト「Wikipedia」にちなみ、「Wikitorial」と名付けられていた。米国時間20日朝、同サイトには次のようなメッセージだけが表示されていた。
「一部の読者が不適切な内容の投稿を大量に行ったため、残念ながら、本サイトからWikitorialを少なくとも一時的に削除することになりました。正しい目的を持ってWikitorialを利用してくださった皆様には、お礼とお詫びを申し上げます」
Los Angeles Timesは同ウェブサイトを開設する3日前、オンラインでの共同執筆に参加するよう、下記の通り読者に呼びかけていた。
「社説の論旨がばかばかしい? 事実を意図的に読み違えている? それとも詩情に乏しい? 『wiki』ウェブページを使って、あなた流に社説を書き直してみてはどうでしょう」
この後に続く文言からは、同サイトが失敗の可能性も視野に入れていたことがわかる。
「多くの懐疑的な人々が、本実験は失敗に終わると考えているようです。Los Angeles Timesは、まるでダンスフロアに躍り出た関節炎を患う老女のように、称賛の視線を集めるのではなく、腰骨を折ってしまうに違いないと彼らは言っています。確かにその可能性はあるでしょう。それでもわたしたちは、本プロジェクトを進めようと思っています」
Los Angeles Timesが米国時間20日に発表した声明によると、「不適切な文言や画像が繰り返し投稿されている」のに気が付いた同社は、サイトが荒らされていることを把握する手段があるにも関わらず、「世論ジャーナリズムの新たな形」でもある同サイトを米国時間19日に閉鎖することにしたという。
声明には、こうした混乱を今後どのように収拾していくかを決定するまで、同サイトは公開しないとも記されている。
米国時間20日には、ウェブサイトLexis-Nexisの米国版に掲載された論説の中で、Wikitorialサイトを混乱に陥れた問題の一端が示唆された。
カリフォルニア州ポルトラ・バレーに居住するMartin Edward Steinは論説に、「昼までには、Los Angeles Timesが最初にWikitorialによる改変対象とした社説のタイトルが、『War and Consequences(戦争とその結末)』から『Dreams About War and Retribution(理想的な戦争や報復)』へすでに変えられていた」と記している。
さらにSteinは、「常に、一部の参加者がコンテンツの10分の9を消去している状況だった(…中略…)国民のための新たなアゴラ(古代ギリシャの集会場)を創造する代わりに、仮想的なモッシュピットを作ってしまったようなものだ」と、論説で持論を展開した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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