国に押されてライバルが協調--DeNAとヤフーが違法オークションを徹底排除

別井貴志(編集部)2005年06月14日 19時41分

 インターネットオークション事業を展開するディー・エヌ・エー(DeNA)とヤフーは6月14日、海賊版DVDをはじめとする違法コピー商品など、知的財産権を侵害する商品を排除するための自主規制ルールの整備で協議を開始したと発表した。

 これは、政府の知的財産戦略本部が6月10日に正式決定した「知的財産推進計画2005」に記載されている「事業者による自主規制ルールの整備や取り組み強化を促す」という内容を受けたものだ。知的財産戦略本部は、知的財産の創造や保護、活用に関する施策を集中的かつ計画的に推進するため、小泉首相を本部長に全閣僚と有識者で構成し、2003年3月に内閣に設置された。

 推進計画や施策は毎年見直され、知的財産推進計画2005では模倣品などの売買や取引を国際的に取り締まる「模倣品・海賊版拡散防止条約」(仮称)の提唱や、知的財産権侵害に対する刑罰(現在は特許法や著作権法、不正競争防止法などでおおむね懲役3年以下から5年以下)の上限を、現在の2倍にあたる懲役10年に引き上げることを検討することも盛り込まれている。

 この中で、インターネットオークションについては、業界の自主ルール整備を促すと共に、特定商取引法の運用を強化するなど、法整備も検討されている。

 これを受けて、DeNAでは6月13日にオークションとショッピングサイト「ビッダーズ」、携帯電話向けショッピングサイト「ポケットビッダーズ」、同社子会社であるモバオクが運営する携帯電話専用オークションサイト「モバオク」における知的財産権侵害出品の対策を発表した。知的財産権に関する啓蒙ページや、模倣品や海賊版問題に関する対応窓口などを6月末までに設置することを挙げている。

 DeNAの広報では「知的財産推進計画2005にあるように、1者だけで取り組んでも意味がないため、他の競合事業者とも連携して進めることが重要だ」として、まずはヤフーと協議することを発表し、「知的財産権を侵害した商品の流通など、不正な手段としてインターネットオークションが悪用されることがないように、他の事業者にも幅広く引き続き働きかけていく」としている。ただし、「これまでも他事業者と連絡を取り合って情報交換してきた一定の成果はあると考えている」とし、今のところ業界団体や協会のような組織を創設することは考えていない。

 具体的には、以下の点について詳細なルールを作成していくために、既に協議を開始した。これらのルールや取り組みの強化策は、実施可能なものから逐次実行していく予定だ。

【インターネットオークション事業者による自主規制ルール(案)の概要】

  • 知的財産権侵害品売買防止のための啓発活動
  • 出品者の把握と要請があった場合の権利者への情報提供
  • 出品の削除
  • 知的財産権侵害品の出品者の排除
  • 特定商取引法上の事業者表示義務の執行強化策
  • 苦情窓口の明示

 さらに、模造品や海賊版の製造地や、税関での摘発、販売者の摘発なども併せた総合的な対策を行うために、両社は連名で6月14日付けで経済産業省に対して各対策への協力を要請した。「具体策の実施には対策の効果を随時検討していくことが不可欠だ」(DeNA広報)として、対策の客観的な効果測定をどのように行えばいいのか、各行政庁と共同でその方法を定めていくかまえだ。また、以下のとおり、各行政庁の対応状況を数値で開示することも求めている。

【関連行政庁への協力要請の概要】

  • 7月末を目処にインターネットオークションで実施していく対策の効果測定の方法を決める
  • 製造地の摘発件数や、税関での摘発件数(特に問題となっている国際宅急便の摘発件数)、国内の販売元の摘発件数、国民生活センターなどへの相談件数について、増減の状況が明確となるように商品別、月次別で数値を開示する

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