匿名のプログラマのグループが、あるソフトウェアをオンラインで新たに公開した。インターネット上での違法なファイル交換と戦う映画業界にとって、このツールが新たな脅威となる可能性がある。
「RatDVD」というこのソフトウェアを使えば、映画DVDの特典映像--異なる結末/未公開部分/監督のコメントなどもそのままの形で、全体のファイルサイズを圧縮できる。
同ソフトウェアで作成されたファイルには、すべての特典機能が含まれ、それをDVDに焼いたり、コンピュータ上に保存して鑑賞することも簡単だ。そのため、ビデオ関連のネットのサークルでは、現在オンラインで最も広く使われている映画ファイル交換用フォーマットに、RatDVDが取って代わるかどうかについて、早くも議論がまきおこっている。
RatDVDを開発したプログラマらは、自分たちのウェブサイトに開発理由を記している。それによると、オンラインで入手できる映画のほとんどは、D-VHSテープ(に記録された作品)よりも少しマシな程度で、DVDの特長である追加の機能が省かれていることから、こうした点に対処するために同ソフトウェアを開発したのだという。インスタントメッセージでの取材に対して、開発リーダーのひとりは、RatDVDは購入したDVDをPCに保存する目的に使えるとしたが、しかしオンラインでのファイル交換にこのソフトウェアを使うユーザーが出てくる可能性もあると述べた。
「みんながこれをどんな目的に使うかなど、私には分からない。何に使うかは個々人の判断だ」とこのプログラマは匿名を条件に語った。「このプログラムに何か違法な点があるとは考えていないが、確かにこれを違法な目的に使うことは可能だ」(同プログラマ)
数日前にリリースされたばかりのRatDVDが、ネットの裏社会という厳しい世界で生き残れるかどうかはまだはっきりしていない。しかしこのプログラムや、いずれ必ず登場する類似のツールが、違法コピー撲滅をめざす映画業界の人々にとって悪い知らせとなることはほぼ間違いない。
違法に交換される映画ファイルの数は、過去数年間に着実に増加を続けているが、これは多くの国々でブロードバンドが急激に普及していることや、DivXやXviDなどタダで手に入れられる圧縮技術がいっそう高度なものになっていることが原因だ。DivXやXviDを使えば、大きなサイズの映画ファイルを圧縮し、手頃な大きさのファイルを作成できる。
ただし、オンラインで交換されている映画ファイルのほとんどは、映画を単純に始めから終わりまで再生するだけで、DVDの特典映像に関する機能までは含んでいない。
前述のRatDVD開発者によると、このソフトウェアは共同で開発されたもので、6〜12人のプログラマが交代で開発作業に携わったという。
RatDVD自体は、市販DVDに含まれるコピー防止用暗号化技術の解読はしない。DVDの暗号解読技術は、映画会社からの法的な圧力にもかかわらず、いまだにオンラインで簡単に入手でき、ユーザーはこれらのツールを使ってDVDのファイルを直接自分のPCのハードディスクにコピーしている。
RatDVDは、非圧縮のビデオファイルをハードディスクに取り込んだ上で、それを新しい動画/音声フォーマットに変換するが、この際にはDVDのメニューもそのままの形で残される。同ソフトウェアのプログラマらによると、彼らはXviDやMPEG 4標準を参考にしながら、このビデオフォーマットを自分たちの手でまったく新たにつくり出したという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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