スパムメールに対抗して個人が法的措置に踏み切る例はこれまでほとんどなかった。だが今回、ニューヨーク在住のある弁護士が、自分の電子メールアドレスが乗っ取られ、株式の宣伝に利用されたとして、スパマーを提訴した。
同訴訟は米国時間26日、弁護士のScott Zieglerおよび同氏の率いる弁護士事務所Ziegler, Ziegler & Associatesによって、ニューヨーク南部地区の連邦地方裁判所に提出された。同氏は、中国で事業活動を行うネバダ州のChina Digital Mediaという企業と、姓名不詳の複数のストックプロモータが、自分の電子メールアドレスを使ってスパム活動を行ったとして、何百万ドルもの損害賠償を請求している。
訴状によると、Zieglerは4月29日から5月3日の間に何千件ものバウンスメールを受信したという。これらのメールの差出人フィールドには、同氏が職場で使用していた電子メールアドレスが表示されていた。
Zieglerは取材に対して、「(自分の電子メールアドレスが悪用されたことにより)私は大きな損害を被った。メールボックスの受信容量を超える、膨大な量の電子メールを送りつけられた結果、必要なメールを受信することができなくなってしまった」と述べている。
同氏は、送信した覚えもなければ、送信を許可したはずもない電子メールに対するエラーメッセージを受け取って「驚き、ろうばいした」と、訴状の中で述べている。また、スパムメールを受信した人の中には、クライアントや将来クライアントになり得る人も含まれているため、同氏は、自分がスパムメールの送信に関わったと、メール受信者から誤解されることを懸念したという。同氏のクライアントには、銀行やセキュリティ対策企業も含まれているという。
スパムメールがまん延し、法的機関やISPがスパマー対策を講じるようになったが、根本的な問題解決には至っていない。こうした中、小さな組織やZieglerのような個人が、自ら対抗策を講じ始めている。
訴状によると、今回の訴訟に踏み切る前にZieglerはChina Digital Mediaに連絡を取ったという。同氏からの連絡に対して、China Digital MediaのCEO、Daniel Ngからは、メールでの返信があった。同社CEOは、ストックプロモータを雇ったことを認める一方で、Zieglerのアドレスを利用したスパムメールとは一切関わりのないことを、メールのなかで主張している。Ngは、プロモータの名前を明らかにはしなかったが、非礼については謝罪したという。
Ngからの電子メールおよび、バウンスメールのコピーが証拠として、裁判所に提出されている。
Ngからの謝罪だけでは、Zieglerの怒りは収まらなかった。「実在の電子メールを使ってスパムメールを送信して、誰からもとがめられないと考える人がいるなんて、驚いた。われわれは、この問題に対して、自分たちで対処する決断を下した」(Ziegler)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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