「迷惑メール対策の取り組みによって、ユーザーからの苦情件数がピーク時の20分の1にまで減少した」--ボーダフォンは5月18日、迷惑メールに対する同社のこれまでの取り組みについて紹介した。
ボーダフォンは1997年11月のスカイメール導入時からPINコードという特定の番号をつけたメールのみを受信する「PINコード・アドレスフィルター」など、ユーザーが迷惑メールを受信しないようにするサービスを提供している。しかしインターネットの普及に伴って迷惑メールの数が増えるようになり、2001年には大量の迷惑メールが同社のネットワークに送られることでメールの輻輳(ふくそう)が起きるまでになった。ただし、2001年12月にあて先が不明の大量メールをブロックする機能を導入したことで、この輻輳(ふくそう)は一時期解消されている。
しかし2003年の夏ごろから、携帯電話を利用して迷惑メールを送信する事業者が現れるようになり、ユーザーの苦情件数がそれまでの3〜4倍に急増したという。そこで同社は迷惑メールの送信を防ぐため、2003年12月からメールやショートメッセージの送信数制限を導入した。2005年には別のメールアドレスから送信しているかのように装う「なりすましメール」の受信拒否設定や、アダルトサイトなどのURLが記載されたメールを受信拒否できる機能を提供している。
同社によると、これらの対策によってユーザーからの苦情件数は2004年3月をピークに減少傾向にあるという。また、利用停止を行った迷惑メール送信者の数も2004年6月には2500件弱いたが、2005年4月には100件以下に減っているとのことだ。
5月31日からは同社の第3世代携帯電話端末から送信できるショートメッセージの数を制限し、迷惑メールの送信を防ぐ。1日に500件以上のショートメッセージを送信した場合、その後20日間はショートメッセージサービス(SMS)の利用を規制する。これにより、ボーダフォンは「ボーダフォンライブ!」で提供するすべてのメールサービスに送信数の制限を導入したことになる。
同様の取り組みはNTTドコモやKDDI、ウィルコムなども行っている。また、業界や政府としての取り組みも進められている。3月には国内のインターネットサービスプロバイダ(ISP)や携帯電話事業者が、迷惑メール対策を業界全体で行うために「Japan E-mail Anti-Abuse Group(JEAG)」というワーキンググループを創設した(関連記事)。ここでは送信ドメイン認証技術やゲートウェイのポート25を遮断して迷惑メールを防ぐ「Outbound Port 25 Blocking」の導入に関して検討を行っている。
5月には迷惑メールの送信者に対する罰則の強化などを盛り込んだ「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特定電子メール法)の改正案が国会で成立した(関連記事)。これについてはボーダフォンも歓迎しており、「メールアドレスを収集するために、架空のメールアドレスあてにメールを送信してはならないという条項が盛り込まれることで、通信事業者が対応しやすくなった。また刑事罰が盛り込まれたことも大きい」とボーダフォン技術本部ネットワーク統括部コアネットワーク設計部交換網計画部Mail設備グループ課長代理の若松広司氏は話している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス