Harvard Business Reviewの元編集者で、「IT Doesn't Matter(ITは重要ではない)」という記事で業界に波紋を投げかけたNicholas Carrが続編を発表したが、この記事の内容はさらに破壊的な変革を予測するものとなっている。
Carrは「The End of Corporate Computing(企業コンピューティングの終焉)」と題する最新記事の要約の中で、「ITの商用アプリケーションの歴史は、驚異的な飛躍によって特徴付けられるものだが、しかしこれから起こる大変動に比べれば、これまでに起こったことは--パーソナルコンピュータの登場やインターネットの普及でさえも--ささいなものに過ぎない」と予想している。この記事はMIT Sloan Management Reviewの2005年春号に掲載された。
Carrは、「IT Doesn't Matter」のなかで、コンピューティングテクノロジーは重要でないわけではないが、企業が他社との競争に勝つための手段にはもはやならないと主張した。同氏のこの記事は多くのIT業界関係者から不評を買い、Intel CEOのCraig Barrettに愚弄されるなどした。
Carrは今回、大半の企業が社内のIT部門を廃止し、代わりに巨大な集中コンピュータユーティリティのリソースを利用するようになると主張している。
「情報技術は、企業が所有する資産(コンピュータやソフトウエア、関連する無数のコンポーネントなど)から、ユーティリティプロバイダから購入するサービスに変わろうとしており、この流れは変えられない。社内の資産であったITが社外から購入するユーティリティサービスに変われば、戦略上/オペレーション上の前提が覆り、業界の経済構造が変化し、市場が混乱し、あらゆるユーザーやベンダーが大きな課題を突きつけられることになる」(Carr)
Carrのこの主張は、コンピュータ業界に現在広まっている考えと一致する。
多くのIT企業がユーティリティコンピューティングの考えを受け入れつつあるが、特にSun Microsystemsでは、自社のコンピュータグリッドの計算処理能力を貸し出しており、将来は主に最終需要者にサービスを販売するビジネスパートナー向けに基盤となるインフラを提供したいとしている。
ただし、Sun最高経営責任者(CEO)のScott McNealyによると、こうした変化はなかなか進まないという。「顧客は、使用量に応じて電気を買うことには問題を感じていないようだが、コンピュータとなると神経質になってしまう」と同氏は先週製品発表の場で述べていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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