米連邦控訴裁判所が、米政府の提案していたデジタル放送の違法コピー防止策を却下した。この規制が認められていれば、7月1日から多くのデジタルテレビ受信機やチューナーカードが違法になるはずだった。
コロンビア特別区巡回控訴裁判所は米国時間6日、米連邦通信委員会(Federal Communications Commission:FCC)には「ブロードキャストフラグ」と呼ばれるコピー保護技術を搭載しないコンピュータやビデオ関連ハードウェアの製造を禁止する権限はない、との判断を示した。FCCが2003年11月に立案したこの規制は、テレビ番組の不正な再配布の制限を目的としたものだ。
この裁判にあたった判事3人は「ブロードキャストフラグの規制は、法律で認められたFCCの権限を超えている。装置が有線/無線の発信に関わっていない場合、FCCに有線/無線通信を受信する家電製品を規制する権限はない」との結論を全員一致で下した。
6日の判決が上訴審で覆されることがなければ、デジタルテレビの違法コピー問題をめぐる戦いは、再び連邦議会に戻ることになる。コロンビア特別区巡回控訴裁判所は、「(ブロードキャストフラグを認可する法律を制定することで)連邦議会が権限を与えない限り、FCCに裁決権はない」と指摘した。
FCCの規制では、デジタルTVチューナーメーカーは、7月からブロードキャストフラグを搭載しなくてはならなかった。同フラグはテレビ番組を録画したビデオの再配布を制限するもの。
しかし、今年1月に、図書館員や公益団体が共同でこの規制に対する訴えを起こした。著作権で保護された作品を図書館員や消費者が「公正使用」する権利が大きく妨げられ、機器間の互換性が制限される、というのがこれらの人々の主張だった。
6日の判決は全米映画協会(MPAA)にとってかなり大きな痛手となった。同協会は、ブロードキャストフラグ規制法の制定に向けてロビー活動を繰り広げ、今回の訴訟でも弁護に加わった。同時に、この判決は高品位テレビやPCチューナーカード、そしてUSB/Firewireチューナーのメーカー各社を一時的に救うことになる。各社はこれで、FCCの規制対応に向けて自社製品の設計を見直す必要がなくなったためだ。
Dow, Lohnes and Albertsonの弁護士で、ブロードキャストフラグに反対するハイテク企業の代理を務めるJames Burgerは、コンピュータメーカー各社はFCCの法理論に深い懸念を抱いているという。
「FCCが連邦コンピュータ委員会(Federal Computer Commission)になるところだった。通信インフラを全く利用しないコンピュータなど今はないだろう。FCCはすべての情報技術に対する権限を主張していたのだ」(Burger)
FCCが提案した規制では、ブロードキャストフラグ付き番組の受信可能な製品をFCCの規制に従わずに「販売もしくは流通する」ことは不法行為となってしまう。
このような製品では、政府の決めた特定の方法でしかフラグ付きの放送を扱えない。具体的には、アナログ出力はコピープロテクト無しで、デジタル出力は一部のローエンドディスプレイへ、そして高品質デジタル出力はブロードキャストフラグ仕様のデバイスへ、という方法が決められている。また、消費者はブロードキャストフラグの付いた番組や映画を録画できるが、ただし録画したのと同じ装置でしか再生できないとされている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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