メリーランド州ケンブリッジ発--米国の現在の特許制度には不備があり、連邦議会はこれを早急にたださなければならないと、一部の大手ソフトウェア企業が警告を発している。
Microsoftの法律顧問Brad Smithは、認可された特許に対する異議申し立てを容易にし、「訴訟の乱発」を回避するためにも、Microsoftは特許法の改革を求めていると述べた。
Smithは先週末、Association for Competitive Technology(ACT)が当地で開催したカンファレンスで、「特許制度の健全性を確保しなければならない」と発言した。「質の高い特許だけが認可され、そうでないものは確実に却下されるよう改善する必要がある」(Smith)
Smithの発言は、カンファレンスに参加した多数の連邦議会議員に向けられたものだ。Microsoftが特許制度の改革を求めたのは今回が初めてではない。同社は、およそ35〜40の特許訴訟を常時抱えており、こうした訴訟にかかる費用は年間1億ドルにも及ぶ。同社はEolas Technologiesと争っていた特許侵害訴訟で、Eolas Technologiesに5億6500万ドルの賠償金(この裁定の一部は差し戻されている)を支払うよう命じられて以来、特許制度の改革を声高に求めるようになった。
議会もこうした声に耳を傾け始めている。米国時間25日、上院司法委員会は特許改革法を検討するため、聴聞会を開いた。ここでは、Segwayの発明者Dean Kamenや、IntelおよびMicron Technologiesの弁護士らが証言を行った。一方、欧州議会では、米国式のソフトウェア特許制度を導入するかどうか、議論が行われている。フリーソフトウェア支持者らはこれに反対している。
Oracleの主任特許顧問Sanjay Prasadも、Smithの発言を支持した。
Prasadは、裁判所がその価値のない特許についても、侵害による被害を認定し、賠償金の請求を許してきたと苦言を呈している。Prasadは23日、そうした賠償金を支払うなど、「まともなビジネスマンなら同意しないだろう」と、ACTカンファレンスにおいて述べている。「特許の持つ真の価値と法廷が認識するそれとでは、天と地ほどの差がある」(Prasad)
大きな影響力を持つ米国商工会議所も、特許制度の改革を後押ししている。International Intellectual Property Instituteの前プレジデントで、現在は会議所で知的財産に関する取り組みを率いているBrad Hutherは、特許の認可後にそれを再検討し、異議を申し立てられるようになれば、「質の低い特許をふるいにかけるためのフィルターになる」と話している。
だがHutherは、国会に迅速な行動は期待しないほうがよいと警告した。「この問題は、数年で解決できるような代物ではない」(Huther)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス