Apple Computerの「iTunes Music Store(iTMS)」から購入した楽曲を、コピープロテクションのかかっていない状態で保存できる「PyMusique」というソフトウェアが、3人のプログラマによって公開された。
この中には、1999年後半にDVDの暗号化技術をハッキングするコードを配布したノルウェイのプログラマ、Jon Johansenの名前もある。Johansenら3人は、PyMusiqueがiTunesの「フェアな」インターフェイスであり、主としてLinuxユーザーがiTMSから楽曲を購入できるようにすることをねらったものだと説明している。
だが「PyMusique」はWindows版も登場していることから、Apple側が法的手段に訴える可能性もある。AppleはこれまでiTMSへのアクセスを厳重に管理しており、オンラインでの音楽販売権の獲得に自社の違法コピー防止ソフトを利用してきている。
3人組の1人でペンシルバニア州在住の17歳の高校生、Cody Brociousは米国18日午後、CNET News.comのインタビューに応じ、「コピープロテクションのかかっていない状態で楽曲を保存できることは、Appleが音楽のダウンロード販売に用いているシステムの仕組みを調べているうちに偶然わかったものだ」と述べた。そして、PyMusiqueはAppleに害を与えるために作成したソフトウェアではない、と付け加えた。
「このプロジェクトの目的は、iTunes Music Storeから音楽ファイルを購入できるようにすることにあった。このプロジェクトは倫理にかなったもので、コミュニティ全体にメリットを与えるものと強く信じている」(Brocious)
この件についてAppleの広報担当にコメントを求めたが、現時点ではコメントは得られていない。
Appleは、iTMSで販売する楽曲からデジタル著作権管理(DRM)技術を取り除こうとするハッカーを相手に長い戦いを続けているが、今回リリースされたPyMusiqueは、そのなかでも最新のものであり、また最も野心的なものといえる。iTMSは現時点で最も人気の高いオンライン音楽販売サービスであり、Appleは消費者がコピープロテクションのかかった楽曲を対価を払って購入するということを実証したほか、同社の違法コピー防止技術が攻撃に耐え得るかどうかをみる実験台にもなっている。
世界各地のプログラマらが過去1年間に、iTMSを支えるさまざまなソフトウェアパーツの仕組みを立て続けに解明していたが、PyMusiqueはそうした作業の結果を利用している。
Brociousは、ウェブページからiTMSを利用できるようにするインターフェイスを構築しているプログラマがいるという話を聞き、自分のプロジェクトを開始したという。
Brociousらは、iTMSからダウンロードした楽曲が暗号でラッピングされているものの、その音楽を購入したユーザーには、この暗号を解除する鍵が購入時に与えられることを発見した。Brociousによると、iTunesは通常、ダウンロードした楽曲をAppleのFairPlayというDRMソフトウェアで再び暗号化するが、PyMusiqueのLinux版ではこのステップが必要ではないことがわかったという。
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