Donald Mayerは、大学院でビジネスを専攻する学生へのお手本として、オークランド大学(ミシガン州ロチェスター)のウェブサイト上にある学生の小論文を掲示した。この時の同氏は、これが後で裁判にまで発展するとは夢にも思わなかったことだろう。
しかし、あらゆるものを網羅するGoogle検索のおかげで、Mayerと同大学は名誉毀損で提訴されることになった。この裁判で、ミシガン州控訴裁判所は今月初めに判決を下した。
Eric Kaczorという学生が書いたこの小論文は、授業の課題として書かれたもので、同氏が以前勤務していたBen-Techという産業オートメーション企業の倫理的および法的過失を主張するものだった。Kaczorが同社に転職する際に、同社の元幹部が「ソフトウェアやマニュアルなど、すべての関連資料」をSiemensから盗み出し、Ben-Techに持ち込むようKaczorに迫った、とこの論文は書かれている。
10年前なら、ビジネスの道徳観に関するこのような議論は、Mayerが同大学で行った講義のなかで終わっていたかもしれない。しかし、Mayerがこの小論文を同校のウェブサイトに掲載し、このサイトがインターネット全体に公開されていたため、Googleの強力なスパイダーが、すぐにこれを発見してしまった。
Mayerは、Kaczorの名前を編集した小論文の残りの部分を、後に他の受講生への参考例として2002年1月に公開した。すると、その2カ月後にBen-Techがオークランド大学に対してこの小論文の削除と訂正文の掲載を要求してきた。
同大学はこの論文を削除したが、訂正文の掲載には応じなかった。これに対し、Ben-Tech側では同社の名前を指定して普通にインターネットを検索すればこの論文が表示されるため、ウェブサイトへの掲載は名誉毀損であり有害だ、と主張して訴訟を起こした。
ミシガン控訴裁判所は、審理の進行を認めている。同裁判所の判事らは1月11日に、「われわれは、原告がKaczorに対してSiemens退社を促し、守秘義務契約に反してSiemensの独自情報を持ち込むよう促す罪を犯したことを、Kaczorの論文が強く示唆するか、あるいは少なくともそう明言しているとの結論に至った」との判断を下した。
下級裁判所では、Mayerに対して有利な判決が下され、略式裁判が認められた。しかし控訴裁判所は、「Mayerが学生時代に法学を専攻したこと、商法の教授という立場にあること、さらに問題となっている講義で名誉毀損を教えていることを考慮すると」、Mayerが公開に先立って論文を慎重に読み返さなかったのは間違いなく深刻な過失だ、としてこの判断を覆した。
Ben-Techの関係者は、「忘れ去られて欲しいと願っていたことをGoogleが蒸し返し、これが再び公になってしまった。いつになったら終わるのだろうか」とだけ語り、詳細に関するコメントは避けた。Mayerにも25日にインタビューを依頼したが回答は得られなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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