米国時間21日に、BitTorrentのファイル交換コミュニティを利用したいと考えるアンダーグラウンド・プログラマらが、期待の高まっていた新たなソフトウェアを披露した。一部のPtoP支持者らは、このソフトによって、最近のハリウッドによる法的攻撃を鈍らせることができると考えている。
eXeemというこのソフトウェアの目的は、人気のPtoPソフトウェア、BitTorrentの高速ダウンロード機能とKazaaやeDonkeyの持つ強力でグローバルな検索機能とを統合させることにある。eXeem初の公開版はSwarm Systemsと名乗る会社からリリースされたが、同社はSuprNovaと呼ばれるウェブサイトの関連会社だった。SuprNovaは、BitTorrentを使ってオンライン上にある無料コンテンツを入手したいと考える数百万人のユーザーに最近まで利用されていた。
BitTorrentはここ数週間、映画会社の弁護士らの激しい法的攻撃の標的にされ、その結果、全世界で行なわれているオンラインファイル交換にとって最も重要なハブのいくつかがネット上から姿を消した。
一部のBitTorrentファンは、eXeemのリリースを心待ちにしていた。オンライン上の他のいかなるアプリケーションよりもネットトラフィックに一時的に寄与したコミュニティを、それによって強化するためだ。しかし開発者らは、一部のファンのように激しい長期に渡る野望を持っているわけではないかもしれない。
「われわれはBitTorrentを再現したのではなく、まったく新しいPtoPソフトをつくり出したのだ。両者にはたくさんの違いがある」と、Swarm Systemsの代表者で現在は活動を停止しているSuprNovaサイトのAndrej "Sloncek" Prestonは言う。「これは新鮮なアプローチだと思う。このアプローチがうまく行くかどうかは時間が経ってみないとわからない」(Preston)
ネット上で最も人気の高いファイル交換コミュニティの1つであるBitTorrentコミュニティは、より広範な成熟を遂げており、今回のeXeemのリリースもその一環といえる。かつては高速ダウンロードのみを重視し、検索能力やそれ以上の高度な機能はほとんど備えていなかったBitTorrentが、Kazaaのアップデート版として、TiVoのライバルとして、そして草の根のメディアツールとして、生まれ変わろうとしている。
Bram Cohenという個人開発者がつくったBitTorrentは、映画、テレビ番組、ソフトウェアといった大容量ファイルが比較的高速でダウンロードできることから、極めて高い人気を集めてきた。BitTorrentの仕組みは、まず各ユーザーが1つのファイルの断片をダウンロードする。そして、そのユーザーのコンピュータがその断片を配布するハブとなり、同ファイルを探している人々にその断片を提供する。
その結果として生じた「スワーミング」と呼ばれる状態は、従来のウェブトラフィックの混雑ぶりとは正反対で、あるファイルを見つけだそうとするユーザーの数が多いほど、容易にダウンロードできるようになった。Linux開発企業を含むソフトウェア企業のなかには、BitTorrentを使って自社の製品を配布し、自社のダウンロード用ウェブサイトにかかる負荷を軽減しようとしたところもあった。
しかし、BitTorrentでは、ウェブサイト上にファイルへのリンクを掲載するか、あるいはInternet Relay Chat(IRC)のようなチャットを通じてファイルを配布する必要があった。SuprNovaやLokiTorrentなどのサイトは、このファイル交換コミュニティのハブとして機能し、そこには何百--場合によっては何千もの違法にコピーされた映画や音楽アルバム、テレビ番組、ソフトウェアへのリンクが張られていた。
全米映画協会(MPAA)は先月、それらのサイトに対する徹底的な法的攻撃を開始し、多くのサイトをウェブ上から一掃することに成功した。運営中止を余儀なくされたサイトの中でも最も高い人気を誇っていたSuprNovaの運営者らは、同サイトの休止の理由について、(BitTorrentから)eXeemへと重点を移すことにある、と語っていた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力