ハイブリッドエンジン市場では、Netscapeの新ブラウザが本命かもしれない。
米西海岸時間30日午前8時の時点で、Netscapeファンらは、2つのブラウザエンジンを積むNetscapeのプロトタイプを試運転している。この新ブラウザでは、MozillaやFirefox、古いNetscapeブラウザを動かすMozilla FoundationのGeckoエンジンと、多くの人々が事実上のウェブ標準と考えているMicrosoftのInternet Explorer(IE)エンジンを切り替えて使える。
Netscapeについては、今回のプロトタイプ・リリースに先だって、AOLがMozillaベースのブラウザとポータルを復活させる計画を進めていることが報じられており、また新バージョンのブラウザには意表を突く機能が搭載されるとの話題も上がっていた。
AOLはこれまで、Netscapeの開発部隊を維持しながら、同時に競合するIEもサポートすることで、ブラウザ分野での賭けをヘッジしてきたが、新ブラウザにIEとFirefoxの両エンジンを搭載することもこのパターンに沿った動きといえる。
AOLは、Microsoftとの独禁法違反訴訟の和解の一環として、自社のオンラインサービスでIEを利用することに関するライセンスを更新した。またAOLは先ごろ、IEベースのスタンドアロン型ブラウザを構築すると表明していた。
Netscapeは、IEとGeckoを切り替えて使える機能を自らのブラウザに搭載することで、Firefoxの成功を利用できるかもしれない。IEは圧倒的多数のコンピュータにプレインストールされており、また多くのウェブサイトも特にIEで正しく動作するよう記述されているが、一方では同ブラウザが度重なるセキュリティ問題に悩まされるなか、Mozillaベースのブラウザが熱心な支持者を獲得している。
市場シェアが落ち込むInternet Explorer
オランダのウェブトラフィック分析会社OneStat.comが先週発表した調査結果では、IEの市場シェアがここ数年で初めて90%を割り込んだことが分かり、何百万人ものウェブユーザーがFirefoxを試すようになって以来、他の調査結果に表れていたシェア減少の傾向が改めて確認された。OneStatの調査結果では、IEのシェア減少分をFirefoxが吸収したことが示唆されていた。
現在Netscapeは、ほとんど全てのコンピュータにデフォルトでついてくるIEブラウザと、Netscapeに起源をもつFirefoxブラウザの両方から、自らを差別化する方法を見つけねばならない状況にある。
NetscapeはAOLに買収される前に、Mozillaオープンソースプロジェクトをスタートさせた。Firefoxはこの取り組みから生まれたものだ。AOLを所有するTime Warnerは昨年、Mozilla Foundationを非営利組織として分離独立させた。
Netscapeは、30日にリリースしたプロトタイプでは、IEのエンジンでサイトとの互換性を確保しながら、デフォルトのGeckoエンジンで全般的なセキュリティ機能を提供している。さらに、Firefoxの先進的な機能に使いやすいインターフェースを提供することで、自らのブラウザが一般的なウェブユーザーにとって魅力的な選択肢になると考えている。
「このブラウザはIEとの互換性があるので、IE用に最適化されたウェブサイトにも対応できる。同時にユーザーはMozillaブラウザのセキュリティ機能も享受できる」とNetscapeのブラウザ開発に詳しい筋は述べている。「われわれは、他のブラウザで利用できる高度な機能を全て網羅し、それをさらに直感的で使いやすくした」(同情報筋)
このNetscapeのプロトタイプは、ここ数週間のあいだにNetscapeポータルで登録した人々に提供されている。このブラウザには実際にIEが含まれているわけではなく、ほとんどのWindowsオペレーティングシステム(OS)にインストールされているバージョンのIEを利用する。このため、このプロトタイプはWindows版しかない。
Netscapeは今後のリリースで他のプラットフォームをサポートするかどうかをまだ決定していないと、同ブラウザ開発プロジェクトに詳しい情報筋は述べている。
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