ニューハンプシャー州コンコードの米地裁は21日(米国時間)、自称スパム王のSanford WallaceとWallaceが経営するSeismic Entertainment ProductionsとSmartbot.netの2社に対し一時的差し止め命令を下した。
米地裁判事のJoseph DiClerico Jr.は、WallaceとWallaceが経営する企業に対し、インターネットのセキュリティ上の脆弱性を突く行為を中止するよう命じた。具体的には、ウェブブラウザの脆弱性を突いてユーザーの知らぬ間にソフトをコンピュータにインストール/ダウンロード/挿入させるためのスクリプトを、24時間以内にWallace自身あるいはWallaceの会社が管理する全てのウェブサイト/掲示板/インターネットサーバから削除するようWallaceに命じた。
この件について、Wallaceの顧問弁護士のコメントは得られなかった。しかし、Wallaceが経営する企業の1社が管理するウェブサイトに掲載された「Sanford Wallaceより」との署名入りのメッセージによると、同氏は当局に協力し、「自身の事業が合法であることを証明する」予定だという。
今回の判決は、既存の連邦通商法のみを根拠にスパイウェア事件を起訴できる可能性を示唆している点で重要といえる。
米連邦取引委員会(FTC)の顧問弁護士であるLaura Sullivanは、「われわれは、消費者のための一時的救済措置を認めた今回の判決は、消費者にとって大きな勝利だと考えている」と述べ、さらに「(この判決は)今後、スパイウェアの不正使用から消費者を守るための有効な手段となるだろう」と語った。
米議会はすでにスパイウェアに対する消費者保護法案の作成に着手している。米下院は今月、Spy Act法案を可決した。同法案は、企業や個人が、コンピュータの支配権を掌握したり、ウェブブラウザのホームページのURLを密かに変更したり、適切な許可なくウイルス対策ソフトを無効化することを禁じている。
今回の訴訟は、Wallaceが自身のウェブサイトのネットワークを通じて消費者のコンピュータに不正に広告などのソフトをインストールしたとして、FTCが今月に提起したものだ。FTCはSeismicとSmartbotの2社が、ポップアップ広告を通じてSpy WiperとSpy Deleterと呼ばれるスパイウェア対策ソフトを各30ドルで販売していたと主張している。また両社は、MicrosoftのInternet Explorerブラウザの脆弱性を突いて、ユーザーの知らぬ間にコンピュータの設定を変更したり、ソフトコードをインストールした疑いが持たれている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力