米作曲家・作家・出版者協会(American Society of Composers, Authors and Publishers:ASCAP)は米国時間18日、Radio Music License Committee(RMLC)に対し、同団体に加盟する放送局がインターネット経由で音楽を合法的にストリーミング配信する権利を17億ドルで認めたことを発表した。
この合意により、全米1万2000の加盟放送局は、ASCAPが管理する音楽を電波で流すと同時にネット上でも配信できるようになる、とRMLCは語っている。この2つの業界団体は、米国連邦地方裁判所のWilliam C. Conner判事が15日に承認した今回の合意を、米国のラジオ史上最大のライセンス契約だとしている。
両団体によると、合意内容には2001〜2003年までさかのぼったライセンス料の支払いや、2004年から2009年まで適用される新しいガイドラインなどが含まれるという。この合意により、ASCAP管理下のコンテンツを大量にストリーミング配信する放送局では、既存の売上ベースのライセンス料から著作権料へと支払い方法が変更になる。
RMLC幹部らは、加盟局がネット上の著作権料と、ASCAPに対して支払い済みの放送権料を区別できるようになったことに満足しているという。ASCAPの関係者は、今回の合意が収益増加につながるとしている。
ASCAPのライセンスディレクター、Vincentは声明のなかで、「2009年まで17億ドルを超える金額が確実に支払われることになったが、これは我がメンバーの音楽がラジオ業界に提供している本当の経済的な価値を示している。長期にわたってメンバーが大幅な収入増を期待できる合意に達することができ、うれしく思う」と述べている。
ASCAPはまた、今回の合意により、膨大な費用が予想される訴訟を両団体が回避できたことも示唆した。ASCAPは、著作権で保護されたタイトルを750万曲以上保有している。
今回の合意は、オンラインラジオ放送の支払システムを確立すべく、音楽およびラジオの両業界が進める一連の取り組みの中の最新ニュースの1つに過ぎない。2003年4月には、米デジタルメディア協会(DMA)と米レコード協会(RIAA)との間で、インターネットラジオ局が楽曲のウェブキャストについてレコード会社に支払う著作権料の提案に関する合意が成立している。
この合意に基づき、America Online、Microsoft、RealNetworks、Yahooなどのネット企業は現在、楽曲をウェブキャストする場合、1曲につき0.0762セントを支払っている。しかし、この合意は2004年末に有効期限が切れることになっている。
ASCAPとRMLCとの合意は、従来の放送形態であれオンライン配信であれ、ラジオ局が音楽番組を編成する権利に影響を与える。DMAとRIAAのガイドライン戦略など、この市場のほかの取り組みは、MP3ファイルのダウンロードなど楽曲のやりとりを対象にしたものだ。
番組の著作権料以外にも、消費者団体、家電メーカー、レコードレーベルなど、多数の関係者がデジタルラジオネットワークの著作権侵害対策基準確立を目指して対立している。RIAAはこの論争のなかで、対価を支払わずにウェブからダウンロードした曲を(ローカルマシンに)保存したり、録音した曲をネット上でやりとりすることを禁じる法律の制定を連邦通信委員会(FCC)に求めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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