デジタル音楽市場の成熟
デジタル音楽の利用パターンの変化は、デジタル音楽市場が創世記から成熟期に移行しつつある兆候だ、とアナリストらは指摘する。
Napsterの登場以来、数年間に、オンライン上で何百万人もの人々が何十億曲もの音楽を交換し、その大半はMP3フォーマットでやり取りされた。またほぼ同時期に、CD音楽も最も人気の高い音楽プレイヤーを使ってMP3フォーマットに変換された。
iTunesなどのオンライン音楽ストアの発展は、MP3以外のフォーマットの増加を促す1つの要因となってきた。しかし、この傾向はまださほど強くない。
NPDによると、これらのオンライン音楽ストアで販売されたデジタル音楽の総数は、デジタル音楽の売上全体から見ると依然として少なく、全世界のハードディスク内に保存されているデジタル音楽全体のおよそ3.5%に過ぎないという。しかし、iTunesをはじめとするオンライン音楽サービスの増加に伴い、各ハードメーカーは、自社製の携帯音楽プレイヤーでMP3以外の音楽フォーマットを積極的にサポートし始めている。
自分のコンピュータを使ってCDを音楽ファイルに変換し、自分のデジタル音楽コレクションを構築し始める人が増加したため、さらに大きな変化が生じた、とアナリストらは指摘する。早くからデジタル音楽を利用している人々に比べハイテク知識に乏しい大方のユーザーは、MP3を選択せず、所有する音楽ソフトにデフォルトオプションとして組み込まれているフォーマットをそのまま使用している。
例えばMicrosoft Windows Media Playerのユーザーは、同プレイヤーを使ってWindows Media Audio(WMA)形式のファイルを作成することが可能だ。そのため、デジタル音楽ファイル全体に占めるWMAファイルの割合は2003年3月時点で10%だったが、その後順調に増加し、現在は全体のおよそ20%を占めている。2003年末にAppleのiTunesソフトのWindows版が発売されたが、同ソフトのデフォルトフォーマットであるAACはわずか7カ月間でおよそ5%のハードドライブシェアを獲得した。
市場調査会社Jupiter Researchのアナリスト、Michael Gartenbergは「(WMA形式やAAC形式のファイルに)変換しているユーザーの多くは、MP3形式に変換していると勘違いしているのではないか」と語る。
アナリストらによると、大半の消費者は、自分のハードウェアで利用できさえすれば、自分がどのフォーマットを使用しているかは気にしない場合が多いという。
実際、2004年3月にJupiter Researchが行った携帯機器に関する調査によると、確かに消費者は、MP3が他のフォーマットに比べはるかに重要であると考えてはいるが、大半の消費者はフォーマットについては全く考えてはいないことがわかった。
同調査では、回答者のおよそ2割が携帯型メディア機器を選ぶ際にMP3のサポートを重視すると答えたのに対し、MicrosoftのWMAのサポートを重視すると答えた人は全体のわずか7%だった。またAppleのiPodやiTunesでサポートされているAACが最も重要と答えた人は皆無に等しかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス