America Onlineは米国時間16日、Microsoftが提案している「Sender ID」と呼ばれるスパム対策技術をサポートしないと語った。
同社は、業界の支持が「思わしくない」ことと、AOLがサポートするSPF(Sender Policy Framework)スパム対策技術との互換性の問題を、この理由に挙げている。
AOLは、標準化団体のIETF(Internet Engineering Task Force)がSender IDの提案を否決したわずか数日後に、この判断を下したことになる。IETFは、同技術の特許提案を秘密にしておくとのMicrosoftの判断は容認できないとしていた。また複数のオープンソースグループも、ライセンスの制限が厳しすぎるとしてSender IDの支持を拒否している。AOLは、IETFの撤退に同意し、さらに自社の意見も付け加えた。
「AOLは技術面に関する深刻な懸念を抱いている。同プロトコルに対して先ごろ変更が加えられ、当初イメージされたSender IDの計画から大きく様変わりしてしまった結果、Sender IDにはオリジナルのSPF仕様との完全な下位互換性がないように思われる」と、AOLの広報担当Nicholas Grahamは電子メールに記している。
Sender IDもSPFと同じく、基盤にある数字形式のInternet Protocolアドレスを確認することにより、「@yourbank.com」といった電子メール送信者の「@」以降のアドレスが本物であることを証明する技術だ。このシステムはMicrosoftの「Caller ID for E-Mail Technology」と、Pobox.comのCTO(最高技術責任者)、Meng Wongが作成したSPFを組み合わせている。
Grahamはさらに、AOLが受信メッセージのSender IDをチェックすることはないが、送信される電子メールには記録を発行する、と加えた。
AOLの発表は、スパム対策の電子メール認証技術標準をめぐる争いが生じていることを示すものといえる。インターネットの副産物で最も評判の悪いスパムは、消費者、企業ネットワーク、そしてAOL、MSN、Yahooなどの電子メールプロバイダーにとって悩みの種となっている。
上記のインターネット大手3社は、いずれも独自システムを推している。AOLは2003年からSPFを採用しており、一方MicrosoftはSender IDを推奨、またYahooはDomain Keysをサポートしている。Domain Keysは、デジタル署名を使い、SPFやSender IDと併用できるものだ。これらの技術は同じ問題に対して異なる形で対処しており、いずれも業界各社の支持獲得に躍起になっている。
AOL、Microsoft、Yahooの3社は、いずれも協力を公言しているが、それぞれが自社システムの標準化に向けて別々の動きに出ている。これら3社は、自社の優先する技術がスパム対策技術の業界標準になることを望み、それぞれIETFに提案を提出している。
AOLの判断についてMicrosoftからコメントを得ることはできなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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