匿名プログラマのグループが、Apple ComputerのiTunesジュークボックスソフトを利用した音楽ファイルの交換を可能にする、新しいソフトウェアをリリースした。
iTunesを利用したファイル交換ソフトは、以前にも「MyTunes」と呼ばれるものがあったが、今回新たにリリースされた「OurTunes」は、MyTunesと同様ほかのコンピュータ上にあるiTunesの全ライブラリをブラウズし、MP3もしくはAppleが推奨するAACフォーマットの曲をダウンロードできるようにする。一方、iTunesミュージックストアで購入し、Appleのコピー防止技術で保護された曲は交換できない。
ただし、OurTunesは1つのネットワークを共有するコンピュータ間でしか使えない。つまり、学生や社員がローカルネットワーク上でファイル交換を行うことはできるが、Kazaaなどのようにインターネット経由で他のコンピュータのライブラリを見ることはできない。それでも、このソフトウェアはAppleと、そしてNapsterの全盛期からファイル交換と戦ってきたレコード会社の経営陣に対して、警鐘を鳴らすことになるだろう。
Appleは過去2年間にわたって、人々がいろいろな聴き方で音楽を楽しめるようにしたいという自社の願望と、無許可の複製から曲を保護したいというレコード会社の要望との間でバランスをとろうとしてきた。そんな同社にとって、家庭内ネットワークで楽曲をストリーミングできるiTunesの機能は、緊張関係を生む原因の1つになっていた。
AppleはiTunesをリリースして以来、これを家庭での音楽システムの核として売り込むことに力を入てきている。同社はまず、1つのネットワーク上にあるMacintosh同士で音楽を共有できるようにし、後には対象をWindowsコンピュータにも広げた。そして、最近ではAirPort Expressというワイヤレス機器をリリースし、普通のステレオでも音楽を再生できるようにしている。
外部のプログラマらがすぐさまこの機能を使って、インターネット上で音楽をストリーム配信できるようにしたため、iTunesを利用したネットラジオ局が数多く登場することになった。
Appleはネット経由のストリーミング機能を無効にしたが、単一ネットワーク内でのストリーミング機能はそのままにした。すると、トリニティカレッジのBill Zellerという学生が、この機能を使ってストリーミング配信された音楽をダウンロードし、MP3ファイルに保存できる方法を考え出した。それをベースに開発されたのがMyTunesというソフトウェアだった。
しかし、Appleは4月にMyTunesの機能を使えないようにした。Appleの広報担当はこの時、曲の共有が正規の個人利用に限られるようiTunesの技術を「強化した」と説明していた。
OurTunesの開発者らは、以前につくった各種のツールを土台にして機能拡張し、WindowsでもMacintoshでも動作するようJavaでプログラムを書き、さらにMyTunesにはなかった検索ツールも追加した。同ソフトは、オープンソースライセンスで無償リリースされている。
OurTunesの生みの親たちは自らのウェブサイト上で、これがまだ開発途中であり、コンピュータをクラッシュさせたり、動作を遅くさせるバグがあることを警告している。同サイトに開発者たちの情報は一切なく、公開されていた電子メールアドレスにメールを出しても、すぐに返信は来なかった。
同サイトには、「お気に召したらビール賃でも寄付いただきたい。貧乏学生たちより」と書かれている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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