RealNetworksは米国時間17日に、デジタル音楽のマーケティングキャンペーンを開始する。このキャンペーンの目的は、同社が開発したiPod互換ソフトウェアを売り込むことにある。ただ、このソフトウェアはApple Computerとの間で衝突の火種となっているものだ。
RealNetworksは期間限定で、同社のオンライン音楽サービスから、シングルを1曲あたり49セント、アルバムを通常価格の半額でダウンロードできるようにする。同社は全米の印刷媒体、ラジオ、ウェブを使ってこれを売り込むマーケティングキャンペーンを展開するほか、オンラインで音楽を購入するユーザーの「選択の自由(freedom of choice)」の保障を求めるウェブサイトも立ち上げる。
同社が「Harmony」ソフトウェアをめぐって世間を賑わせるのは、このキャンペーンが2度め。Apple独自のコピー防止機能を再現した技術であるHarmonyを、RealはAppleの許可を得ずに開発してしまった。Realは、Harmonyを利用して、Apple以外で初めてiPod音楽プレイヤーに楽曲を直接配信するオンライン音楽サービスを運営することになる。しかし、この動きに対してはApple側から強い抗議の声が上がっている。
「Harmonyを提供するのは業界にとっても消費者にとっても正しいことだと考えている。そこで、われわれはこの問題に関する判断を世論に委ねることにした」と、同社最高経営責任者(CEO)のRob Glaserは述べている。
RealNetworksによるこのキャンペーンは、デジタル音楽(配信)業界の多くの関係者が最も重要とする問題に光をあてるものだ。Appleやソニー、RealNetworks、そしてMicrosoft陣営にくみする他の競合サービスは、それぞれが互換性のないフォーマットで楽曲を提供している。このためダウンロード購入した曲を再生できるハードウェアの種類が限られてしまう。
音楽業界の幹部らは、こうした互換性の無さが災いし、消費者がそっぽを向いてしまわないかと心配している。消費者は、CDのように、どのメーカーのハードウェアでも楽曲を再生できるという状況に慣れているからだ。
iPodでコピー保護のかかった楽曲を再生するには同社のコピー防止技術「FairPlay」が必要なため、RealNetworksはAppleに対して同技術をライセンスするよう強く求めたが、しかしApple側がこれを拒否。またVirgin MegaもAppleに対して、他の音楽配信業者がiPodを利用できるようにすることを求めており、フランスの競争評議会に苦情を申し立てている。
これに対しApple最高経営責任者(CEO)のSteve Jobsは、iPodを競合他社のサービスにも使えるようにしてもビジネスとしてソロバンが合わないと述べていた。同社は許可なくiPodを利用できるソフトウェアを開発したRealNetworksのやり方を強く非難してもいる。
アナリストらは、RealNetworksの当初の発表がデジタル音楽市場に与えた影響に関して、これまでのところ目に見えた変化はないとしつつも、1曲49セントという値段なら魅力を感じる消費者も多そうだとコメントしている。
「Appleにとっては面白くないだろうが、それ以外は現時点でとくに大きな悪影響はない。このプロモーションでRealを初めて知る消費者もいるだろう。難しいのは、キャンペーンが終了し曲の値段が元通りになった後でも、顧客を捕まえておくことだ」と、Jupiter Researchのアナリスト Michael Gartenbergは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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