上院司法委員会のOrrin Hatch委員長は22日(米国時間)、ファイル交換ネットワーク禁止法を早急に制定する必要があるとしながらも、Apple ComputerのiPodなどへの影響を懸念するIT企業と協力しながら法案の策定に当たると語った。
Orrin Hatch上院議員(共和党、ユタ州選出)は、多くの論議を呼んでいるInduce Act(誘発法)の法案策定作業を推進する意向を示したが、同法に対しては、インターネットサービスプロバイダ(ISP)やシリコンバレーのメーカー数十社から反対の声が上がっている。Induce Actは、著作権法に違反する行為を故意に誘発した者に対し、その違反行為について法的責任を問われると定めている。
しかしHatch議員は、批判的な意見も歓迎すると付け加えた。「(法策定に)協力してもらえれば、正しい内容の法を制定できるだろう。協力が得られなければ、われわれだけで策定作業を行なう。何らかの対抗措置を取る必要があるからだ。誰もが満足の行く方法でこれらの問題を解決するのは不可能だ」(Hatch)
2003年4月にカリフォルニア州の裁判所で、ファイル交換ソフトメーカーのGroksterおよびファイル交換ソフトMorpheusを販売するStreamCast Networksは、両社のソフトを使って行なわれた著作権侵害行為について責任を問われないとの判決が下された。しかし、音楽業界や一部のソフトメーカーから幅広い支持を受けているInduce Actが制定されれば、この判決は覆されることになる。同法案の批判者らは、(同法が制定されれば)Appleや東芝といったハードウェアメーカーの製品だけでなく、ジャーナリストの論評さえも著作権侵害行為を誘発しかねないとして、法的責任を問われる可能性があると警告する。
上院司法委員会の民主党最有力メンバーのPatrick Leahy上院議員(バーモント州選出)もHatchの意見に同意した。Leahy議員は「iPodなどの新技術の普及を妨げたいとは誰も考えていない」と述べた上で、「ただし、われわれはPtoP技術を不正あるいは違法な方法で使用している者が存在することを理解しなくてはならない」と語った。
Microsoft、Apple、Adobe Systemsなどが参加するソフトウェアの著作権保護団体Business Software Alliance(BSA)は、先月発表した声明の中で、Induce Actを「著作権侵害防止と技術的革新の間に、妥当な均衡が図られている」として称賛した。
しかし、22日の公聴会が開催されるまでに、BSAのRobert Holleyman会長のInduce Actに対する評価は大幅に低下した。公聴会でHolleyman会長は同法案について、悪意ある行為者に限り法的責任が問われるとの修正が行われた場合に限り、これを容認しうると証言した。
全米家電協会のGary Shapiro会長は上院に対し、裁判所がどのファイル交換ネットワークを合法と判断するかを見極めるまで待つべきだと提案した。「(Induce Actは)それによってもたらされる利益よりも損害の方が大きいことから、現時点での立法化は必要ないと考える」(Shapiro)
40以上の業界団体および権利擁護団体が7月6日に複数の上院議員に送った手紙には、Induce Actに対する同様の見解が述べられていた。CNET Networks、eBay、Google、Intel、MCI、TiVo、Verizon Communications、Sun Microsystems、Yahooの署名がなされたその手紙には、「(Induce Actは)技術革新を阻害し、米国以外の国々へのIT関連投資を促進する危険性がある」と書かれていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」