iPodやNapsterプレイヤーで、一部の楽曲やビデオを再生できなくさせてしまうコピー防止ツール。そんなコピー防止ツールには、もううんざりだという人は多い。Leonardo Chiariglioneもその1人だ。
Moving Picture Experts Group(MPEG)を創設したイタリア人技術者Chiariglioneは、Digital Media Project (DMP)を結成し、その音頭をとっている。彼は、MicrosoftやApple Computer、ソニーなどの企業から提供される、全く互換性の無いコピー防止技術の間のギャップを埋めたい考えだ。
同グループは、iPodやソニーのプレイヤーの間に存在する垣根を取り払い、異なる携帯音楽プレイヤーやビデオプレイヤー同士でも同じコンテンツを再生できるようにしたいと考え、そのための標準仕様の案を募集している。
ソフトウェアコピー防止に採用される技術はデバイス毎に異なるため、あるコピー防止技術に対応したコンテンツは他のデバイス上で再生できない。デバイス同士の相互運用性を高めたり、(それが無理でも)もっと平和な形でコピー防止技術を共存させることを求める団体は、複数存在するが、同グループもその1つだ。
しかし、善意からの活動であっても、同グループの目の前には大きな障害が複数立ちはだかる。例えば、有力企業はデジタル著作権管理(DRM)技術を顧客を囲い込む強力な手段と見なしており、相互運用性を高めることは自社の優位性を損なわせると考えている。
例えばAppleは、自社のiTunes Music Storeで、既に1億曲以上の楽曲を販売したが、これらの楽曲は全てFairPlayというDRM技術により保護されている。これらの楽曲はCDに焼き付けられたり、またはリッピングされてコピー防止技術が機能しないMP3フォーマットに変換されたりしない限り、AppleのiPod以外のデジタル音楽プレイヤーで再生することはできない。
つまり、これら1億にものぼる楽曲は、iTunes顧客にとってiPodを購入し続ける強力な動機となる。同様に、ソニーをはじめとする他のメーカーも、独自のDRMフォーマートを維持したいと考えている。
DMPにはPanasonic、British Telecom、Telecom Italia、MPEG LA(MPEG Licensing Association)などの大手企業が参加しているが、大手DRM技術ベンダの参加はゼロだ。
標準化に向けた今回の呼びかけの対象には携帯デバイスも含まれている。同グループは、携帯デバイスでの対応を足がかりとして、最終的にはDRM技術全体の相互運用性を高めたいと考えている。どんな企業や組織でも、DMP側の要件に合致すればアイデアや技術を提供できる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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