Microsoftとの間で、基本的なウェブブラウジング技術をめぐり激しい特許闘争を繰り広げているカリフォルニア大学が、同社に対し反撃に出た。
カリフォルニア大学、およびその関係者が設立したソフト会社Eolas Technologyは米国時間1 6日、Microsoftの控訴申し立てに対抗するため、ワシントンDCの連邦巡回控訴裁判所に書類を提出した。両者の間で争われてきた特許権侵害訴訟は、ウェブサイト開発者からブラウザのベンダや標準化団体に至るまで、ウェブ業界全体の混乱を招いてきた。
各種プラグインや、Macromediaのアニメーション作成ツール「Flash」やAdobeの電子ドキュメントリーダー「Acrobat Reader」のような、ウェブブラウザ上で動作するアプリケーションを実行するためにEolasが保有する技術の特許権をMicrosoftが侵害したとして、同社は昨年、総額5億2100万ドルの損害賠償を支払うよう命じられた。
それ以来Microsoftは、Eolasの特許権に抵触しないと同社が主張するブラウザを開発してきたが、同ブラウザは従来の方法で作成された数百万のウェブページを破壊する可能性がある。そこでMicrosoftは特許侵害訴訟が解決するまでそのブラウザの使用を保留することにした。
今年、Microsoftの損害賠償額が引き上げられた。2003年8月に下級裁判所が、Microsoftに対し、同特許権が発行された1998年11月17日から2001年9月30日までに出回った3億5400万ものWindowsオペレーティングシステム(OS)について、1本につき1ドル47セントをカリフォルニア大学とEolasに支払うよう命じた。同OSには、Microsoft製ウェブブラウザ「Internet Explorer」も含まれている。また今年1月には、同裁判所が判決前利息として賠償金額に4530万ドルを上乗せしたため、同大学が受け取る賠償金は5億6500万ドルを超えた。
Eolasの特許をめぐる争いは2つの前線で進行している。Microsoftが判決を不服として控訴する一方、米特許商標庁(USPTO)もプラグインメーカーや主要な標準化団体であるW3C(World Wide Web Consortium)など、多くのウェブ関連企業・団体の申し立てを受け、同特許を再審査している。
Microsoftは先月提出した最初の控訴申立書の中で、地裁はソフトウェア開発者兼アーティストのPei Weiが開発したウェブブラウザ「Viola」に関する証拠を不当に制限したと主張した。Microsoftによると、同ブラウザはEolasの特許権が発行される前に開発され、特許法が定めるいわゆる「先行技術」に当たるという。先行技術とは、特許が取得される前に開発された同様の発明で、先行技術の存在が確認されるとその特許は無効となる。
MicrosoftのViolaについての主張に対しカリフォルニア大学は、裁判で紹介された2種類のViolaコードは906号特許という名称で知られるEolasの発明とは無関係と反論した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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