[ニュース解説]多くのインターネット企業の収益源となっている有料検索ビジネスが、1つの現実に直面している。
有料検索市場の過去2年間の急成長振りは目を見張るものがあったが、今四半期にはやや減速の兆しが見られた。しかしアナリストや業界幹部らは、有料検索ビジネスが衰退しつつあるとの見解を否定し、逆に今後もさらに成長するとの見通しを示した。
調査会社American Technology Researchの株式アナリスト、Mary Mahaneyは米国時間8日、投資家向け短信の中で、「2002年から2003年にかけて爆発的成長を遂げた検索市場に、価格/検索数に関して顕著な季節性が現れている。このことから、同市場が成熟の初期段階に入ったのでないかとの憶測があり、おそらくその通りかもしれない」と述べている。
確固たるものとなりつつあるこの傾向の、最も顕著な兆候が現れたのは7日のことだ。この日、ウェブポータル大手のYahooが発表した同社の四半期決算は、株式市場が予想した通りの結果となった。Yahooの子会社であるOverture Servicesは、世界最大規模の有料検索事業を展開しており、CNNやMicrosoftのMSNといった大手企業を顧客に抱えていることから、同社の業績は有料検索業界の今後を占う試金石として注目を集めている。
Yahooと並び有料検索業界の有力企業であるGoogleは、提携関係にあるAmerica OnlineやAsk Jeevesといった有名提携企業に対し、大きな利益をもたらしている。今年の株式上場に向け準備を進めている同社は、有料検索事業の売上が売上全体の9割以上を占めている。
7日に行なわれたアナリストらとの電話会議の中で、Yahooの幹部が、前四半期の同社の有料検索クエリは総数・総額共に横ばいだったことを認めた。これを受け、株式市場で同業界の先行き懸念が広がり、Yahooの株価は同日の時間外取引で12%下落したが、翌日わずかに値を戻した。
有料検索市場は依然成長を続けているが、成長速度は前四半期に比べ鈍化している。Mahaneyは投資家向け短信の中で、Overtureの売上は前年から39%増加したが、第1四半期に記録した前期比45%増を下回っている、と指摘している。
一方、調査会社Piper Jaffrayの株式アナリスト、Safa Rashtchyは「Yahooは機能向上と共に成長している」と述べ、さらに「横ばいの時期というのはいつでもあるものだ。第1四半期並みの増加率を2期連続で記録するのは不可能だ」と語った。
有料検索は薄利多売のビジネスだ。Yahooの子会社のOvertureやGoogleなどの有料検索サービス企業のシステムは、まず広告主が検索キーワードのオークションに入札して広告を掲載する権利を獲得し、ウェブユーザーが広告のテキストリンクをクリックする度に広告主が検索サービス企業に対価を支払う仕組みになっている。OvertureやGoogleは、停滞していた多くのネット企業の財政面を復活させ、それまで打ちのめされていたYahooやAOL、MSNなどの大手各社に、新たな命を吹き込んだ。有料検索ビジネスがあまりに魅力的なため、Yahooは昨年16.3億ドルを注ぎ込んでOvertureを買収したほどだ
現在でも市場全体は成長を続けているものの、1クリックあたりの価格がピークに達してしまったのではという懸念も聞かれる。今年Googleが株式公開を果たした後には、各四半期ごとに決算報告が出されるようになることから、検索広告ビジネスの実情がさらによく理解できるようになるだろう。
「昨年は小さな問題に過ぎなかった季節による変動が、今年は大きな懸念の材料になっている」と、Schwab Soundview Capital Marketsの証券アナリスト、Jordan Rohanは述べている。
それでも、ウォールストリートのアナリストらは、これらの結果に強気の評価を与えている。彼らによると、有料検索ビジネスは、これまであまりにも急速に成長したため、このあたりで少し減速することにもメリットがあるかも知れないという。従来の広告を例にとると、天候の良くない時期には業績が好調で、反対に皆が浜辺に出かけていくようになるとビジネスが落ち込むという傾向があると、彼らは説明している。
こうしたなかで、Yahooの幹部らは、季節が移り変わるのと同じように、市場のムードも変わってくれるよう祈っている。
同社CEOのTerry Semelは、7日に行われたインタビューのなかで、「われわれはとても満足している。この結果にはまったく驚いていない。価格も安定している。すべてが好調だ」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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