Yahooは米国時間17日、人気のインスタントメッセージ(IM)サービスの企業向けバージョンの発売を中止したことを認めた。
Yahoo Messenger Enterprise Editionの提供が廃止されたことによって、今はなき同社企業ソフトウェア部門の活動が終焉を迎えることになる。同部門は2000年に設立され、社内用ウェブポータルやテレビ会議サービスの販売に取り組んでいた。しかし、昨年10月にYahooは同部門を解体し、コンシューマー部門と業務をを統合した。
今週始めに行われた非公式インタビューのなかで、Yahooの最高情報責任者(CIO)Lars Rabbeは、企業用IMの取り扱いを取りやめたと述べた。Yahooは主にコンシューマーを対象とした企業で、企業向けソフトウェアの販売に伴うサポート業務やその他の責任を負うような体制が整っていないからだという。
これで、Yahooのコンシューマー向けと企業向けの製品が1つのパッケージに統合されることになる。
17日、販売を中止した時期については、Yahoo関係者からコメントを得られなかった。
Yahoo、MicrosoftのMSN、America Onlineの3大ウェブポータルにとって、企業にIMを販売することは良い戦略のように思えた。3社はいずれも、IMクライアントを無料で提供しており、これまで何百万人ものインターネットユーザーがダウンロードして使用してきた。IMは、リアルタイムにメッセージ交換することを可能にする技術で、ユーザーがゲームを楽しんだり、電話をかけたり、テレビ会議を行ったりするところまで発展してきた。
IMは、企業でも使用されるようになってきた。調査会社Radicati Groupが実施した調査によれば、北米の企業の約85%が、社内ネットワーク上で何らかの形式のIMを利用しているという。従業員が公私の連絡を取り合うためにYahooやAOL、MSNのソフトウェアをダウンロードしたことで、普及に弾みがついた。
このようにIMは、IT部門の管理下に置かれない形で企業内に浸透した。そのため、多くのシステム管理者はウイルスに対するIMの安全性を懸念するようになった。金融や医療など、政府の規制を受ける業界では、職場でIMを使用することが、各種プライバシー関連法に抵触するのではないかと懸念している。
大手3社はこれを、それまで無料だったIMサービスを企業向けに改善して販売する絶好の機会とみなした。改善されたソフトウェアには、やりとりした内容の記録、認証、ID管理のような機能が含まれるようになった。3社は、IMLogicやFacetime Communicationsのようなサードパーティーと提携し、これらの企業のアプリケーションをIM製品に追加した。
しかし、一部の業界観測筋が指摘してきたように、コンシューマーを対象としたウェブサービス企業は、企業向けのソフトウェアベンダーになろうとする過程でしばしば困難に直面してきた。
「これで、コンシューマー市場から企業市場へスムーズに移行できないことが証明された。利益が直接上がらないコンシューマー市場と企業市場を全く別物として考える必要がある」と、Reuters MessagingエグゼクティブバイスプレジデントのDavid Gurleは述べた。
IBMやSun Microsystemsのような経験豊かなベンダーは、すでに確立している販路を通して独自のIM製品を提供し始めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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