CNET News.comが入手した情報によると、Googleは同社サービスの一部で、広く普及しているRSSのサポートを再開することを検討中だという。ネットユーザーのニュースの読み方を変える可能性があるウェブのパブリッシングフォーマットの標準化をめぐっては、現在も激しい争いが繰り広げられており、一度はRSSを見捨てたGoogleが再びこれをサポートすることになれば、この争いも新たな展開をみせることになる。
RSS(もしくはReally Simple Syndication)は、オンラインパブリッシャーが購読者に対して自動的にコンテンツを配信できるようにする技術で、読者にとっては複数の情報源から一度にニュースを集め、リアルタイムでその見出しを作成できる強力なツールとなる。RSSは、昨年これに対抗する形で発表されたAtomと並んで、まったく新しいスタイルのウェブパブリッシングを実現するための業界標準の基礎を形作る、最も有力な技術と見られている。
Googleは4月に、どちらの肩を持つかを一見決めたかのように思われた。同社のBloggerパブリッシングツールでRSSのサポートを取りやめ、代わりにAtomを選んだからだ。ところが、現在ではGoogle社内で両フォーマットを同等に扱うべきだとする機運が高まり、同社が方針を改める可能性を示す兆候がいくつも見られる。
CNET News.comが入手したGoogleの社内メールによると、同社はこれまでに方針の変更を検討してきており、先月にはスタッフを少なくとも1人割り当てて、RSSに関連する技術的な詳細を要約したメモを作成させている。このメモ作成に対する要望は、同社が現在試験的に提供している Google Groupsというサービスと、そしてBloggerの新規利用者のために、RSSのサポートを行ってはどうかという話題に触れた広範な議論のなかから出てきたものだ。なお、Google Groupsの試験では、Atomのみをサポートし、RSSはサポートしていない。
Googleの製品管理担当バイスプレジデントJonathan Rosenbergは5月22日付けのメールのなかで、 「(Googleの)あるプロダクトマネージャにサマリーを作るよう頼んだ。各種のRSSフィードがどう作られ、利用されるのか。それぞれがどんなプラットフォームやデバイス上で動作するのか。そしてRSSの1.0や2.0、Atomなど、さまざまなフォーマットの情報をまとめるように依頼した」と記している。このメッセージは、Googleの共同創業者であるSergey BrinとLarry Page、CEOのEric Schmidtや他の幹部向けに書かれたスレッドの一部だった。
6月4日現在、この問題に関する決定はまだ下されていないようだ。Googleのある関係者はコメントを避けた。
仮にGoogleがRSSとAtomの両方を同等にサポートするとなれば、急速に議論が盛り上がりつつあるウェブパブリッシングにとって成長の痛みを緩和するのに役立つかもしれない。さらに、RSSとAtom双方の支持者が激しい戦いを続けるなかで、Googleは再び中立の立場を回復できるだろう。両陣営の支持者の間では、昨年夏にRSSに批判的な人々が団結し、代替フォーマットとなるAtomを作り出して以来、分裂状態が続いている。この時以来、多くのBlogサイトや個人のBlogページがAtomの支持に回っている。
Googleはこの論争の真っ直中に置かれているが、これはBloggerを保有する同社の影響力が、オンラインコミュニティやウェブパブリッシング業界のなかで高まっているためだ。同社は、今年中の新規株式公開(IPO)を目指して準備を進めているところだが、最近になってBloggerのデザインを改め、初心者でもBlogを書けるよう機能を簡素化した。この動きは、より幅広いユーザー層にアピールするためのものだ。Googleはまた、さまざまなコミュニティサービスの提供を計画しているが、そのなかには「Google Groups 2」というディスカッショングループや、無料で使えるウェブベースの電子メールサービス、検索をパーソナライズできるツールなどが含まれており、これらのサービスでもいずれはRSSやAtomのようなコンテンツ配信フォーマットを利用することが考えられる。
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