5月31日、Yahoo! JAPANは検索エンジンを従来のGoogleから米Yahooが開発したYahoo Search Technologyに変更した。今回の切り換えに関しては、Yahoo! JAPANの検索サービスを統括するヤフーのリスティング事業部長 志立正嗣氏がCNET Japanの特集「サーチエンジン戦略を探る」の対談の中で、「近日中に切り換える」ことを明らかにしていた。Yahoo! JAPANでは31日の昼前から検索エンジンの入れ換えテストなどを行い、稼働を確認して全面的な切り換えに踏み切った模様だ。
米Yahooは2002年12月に検索エンジン大手のInktomiを買収して以来、OvertureやAltaVista、FAST(AlltheWeb)など複数の検索エンジン技術を社内に蓄積。それらの技術をYSTに統合し今年2月に公開した。検索サイトのユーザー数で競争しながらも採用し続けざるを得なかったGoogleと晴れて袂を分かち、世界各地のYahooでYSTへの切り替えを進めてきた。
今回のYahoo! JAPANのYSTへの切り換えも世界戦略の中での順当な決定に見えるが、実は他の国とは事情が異なる。
日本のヤフーは米Yahooよりもソフトバンクの出資比率が多く、米Yahooの子会社というよりも、同社からブランドや技術を買ってYahoo! JAPANを運営しているという関係に近い。個々の新技術の採用に関しても日本側に決定権がある。実際、Google以前は日本独自でgooの検索エンジンを採用していたこともある。
さらに日本では、検索ユーザー数でYahoo! JAPANがGoogleを上回っており、米国のようにGoogleと差別化してユーザーを取り返さなくてはならないということもない。むしろYSTの性能がGoogleよりも悪ければ、既存のユーザーをGoogleに持って行かれかねないというリスクがある。
ヤフーの志立氏はこの点について「Googleの検索結果や速度などと比較して、YSTの方が良い結果が出ると判断したから今回の切り替えに踏み切った。米国が開発したからという理由で無条件に入れるわけではない」と説明している。
今回のYST導入に伴いYahoo! JAPANでは「日本タレント名鑑」などのデータベースをページ検索の結果に統合するなど、新しい機能も導入するが、デザイン上は大きな変更は行わない。そのため、一般ユーザーの多くは検索エンジンの変更自体に気が付かない可能性もある。
一方で最近注目されているSEO(Search Engine Optimization:ウェブサイトの構造を検索エンジンに最適化することで、検索結果の上位に表示されるようにすること)の手法はGoogleを念頭にしていることが多く、YSTの順位付けの方法がGoogleと異なれば、SEOを行っているサイトの多くは新たな対応を迫られる可能性もある。
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