先週、イラク人捕虜を虐待する米兵の様子が暴露されたが、これはカメラからインターネットにいたるデジタル技術が、報道のあり方を変貌させていることを示す最新の例となった。
イラク人捕虜に対する屈辱的な扱いを収めた憂慮すべき写真が最初に登場したのはテレビ番組の中だったが、虐待を詳細に伝えたのはインターネットという規制のないメディアだった。
これらの憂慮すべき写真--多くのごく普通の米兵が携帯した廉価なデジカメで撮影したとされる--を複数のウェブログが転載し、また自国兵士による犯罪の可能性もある行為を記した機密扱いの米軍報告書の全文も掲載した。これほど詳細な文書が明らかになることはほとんどない。
兵士が裸の捕虜を侮辱する様子を描写した陸軍の報告書と写真は、数百カ所もの報道機関サイトや個人のウェブアーカイブで公表されてしまい、ブッシュ政権と主戦論者たちは、これを無視できなくなってしまった。
米国時間5日、ブッシュ大統領は国際的に高まりつつある批判を静めるためにテレビ出演した。BushはAl Arabyiaネットワークに対し、「これは深刻な問題だ。米国に悪影響を与える問題だ。米国民も、中東の人々と同じように、これらの写真や記録を目にして愕然としている」と語った。
これらの写真が急速に広まった要因は元の素材にある。つまり、これらはイラク派遣部隊が持ち込んだ低価格デジタルカメラで撮影されたものだった。イラクに駐留する兵士には電子メールの利用が許可されており、多くの兵士がこれを利用して、旅行者が撮影するような砂漠やモスクの日常的なスナップショットを実家に送信していた。
The Washington Postによると、先日これらの平凡な写真の中から捜査官たちが捕虜収容施設の写真を見つけ出し、CD-ROMに保管していたのだという。同紙は6日にも、Abu Ghraib刑務所で撮影された一連の新たな写真をウェブサイトで公開した。
アマチュアのスナップショットが世界を震撼させたのは、インターネットで公開されたイラクの写真が初めてではない。1991年には、アマチュアの撮影したビデオによって、ロサンゼルス警察の警官がRodney Kingを警棒で叩いたり、蹴ったりしている様子が暴露された。その十年後、世界貿易センタービルが崩れ落ちる最も劇的な場面を記録したのもアマチュアが撮影したビデオだった。
同様に強烈な印象を与えるのが、Antonio Taguba少将が作成した軍の「機密」内部報告書の生々しい一節だ。New Yorkerは、これをごく一部だが抜粋して掲載している。
オンラインで公開された未編集版はかなり赤裸々な描写となっている。この中でTagubaは、憲兵には「カメラやビデオの前で男性抑留者のグループに自慰を強要したり」、「口輪を外した軍用犬を使って抑留者を威嚇し、恐怖を与え、少なくとも1人の抑留者を噛ませて重傷を負わせた」などの行為があった、と断定している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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