テクノロジーに関する話題をめったに取り上げないBush大統領が、このほど高速インターネット接続網を全米に張りめぐらすための、規制緩和を含む広範な提案への支持を表明した。
Bush大統領は米国時間4月26日、ミネアポリスで開催された全米コミュニティ・カレッジ協会の年次総会に出席し、2007年までに「米国中のどこからでも」高速インターネット網に接続できるようにするべきだと語った。また、ブロードバンド接続は、「わが国の経済を変えつつある情報に国民がアクセスできること」を保証するものだと付け加えた。
これを実現するため、Bush大統領は同日、ブロードバンド接続事業者が連邦所有地をもっと簡単に利用できるよう、連邦政府関連機関に対して手続きの簡素化を命じた。また、ホワイトハウスは報告書の中で、Bush大統領が光ファイバー接続の規制緩和を目指す連邦通信委員会(FCC)の取組みや、電力線ブロードバンドの仕様を開発する商務省の取組み、インターネットアクセス税の抑制を求める上院の提案を支持している点を強調した。
Bushの提案は、漸進的なアプローチを採り、また規制の緩和を求める内容となっている。この提案では、民間企業によるサービス提供を奨励するために、税率を低く抑え、さらに多くの周波数帯を開放し、また行政による規制を制限するなどの方針がうたわれているが、しかしこの恩恵を受けるはずの潜在利用者--まだブロードバンドを利用していない米国民の数はますます少なくなっている。先週Pew Internet & American Life Projectが発表した調査によると、米国のネットユーザーの約55%が、自宅や職場でブロードバンド接続を利用しているという。
一方、民主党大統領候補のジョン・ケリー上院議員(マサチューセッツ州選出)は、ブロードバンドや他の技術テーマに関する提案を数週間以内に発表するものと見られている。これに関して、ケリーのアドバイザーを務めるReed Hundt(元FCC委員長)は今月、民主党では規制寄りのアプローチを採ることになりそうだと述べている。これはつまり、ブロードバンド接続をユニバーサルサービスの1つと位置づけることを意味する。だが、インターネットがユニバーサルサービスとされれば、過疎地のユーザーや低所得世帯のユーザーにサービスを提供するため、都市部の利用者の負担が引き上げられる可能性もある。
ワシントンDCにあるシンクタンクCato Instituteで、通信分野を担当するAdam Thiererというアナリストは、Bushがブロードバンドに関する方針をまとめるのに、4年もかかった理由がよくわからないと述べている。
Thiererは、Bushが電力線ブロードバンドをテーマに挙げたことは注目に値すると述べる一方で、DSLやケーブルテレビ、衛星回線を利用したインターネット接続の規制については詳細な説明がないと指摘した。「現行のブロードバンド事業者や、彼らがすでに直面している規制の問題について、なぜ何も言及しないのか?新生のブロードバンド技術に関しては具体的だが、現行の技術に関しては何一つ具体的でない」(Thierer)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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