America Online(AOL)は、ほとんど見捨てられた状態にあるNetscape部門を復活させようと、プロダクトマネジメントや事業開発のプロフェッショナルを募集している。
Netscape.comのジェネラルマネージャーJeremy Liewは19日(米国時間)、同部門への就職希望者を募集するメッセージをある人材募集のメーリングリストに投稿した。一時はウェブの発展の鍵を握る立場にあったがNetscape.comだが、今となってはその栄光も色褪せてしまっている。
Liewはこのメッセージの中で、「Netscapeは現在、積極的に採用活動を行っている」と述べ、また「われわれは、Netscapeを再出発させようとしている。Netscapeを全く新しい方向へ導くための権限や予算もある。ただし今後も、現在第2位の座を占めるウェブブラウザや、第3位の座を占める一般向けポータルの事業展開に重点を置く」と付け加えた。
さらにLiewは、プロダクトマネジメントについて複数のポジションを用意していると述べ、「検索やブラウザ、コンシューマー向けウェブサイト、コンシューマーソフトウェア、個人認証/パーソナライゼーション、ウェブパブリッシングのいずれかの分野で経験があれば、さらに好ましい」としている。
この募集は、オハイオ州コロンバスの欠員を補充するものだと、Liewはいう。AOLでは、同社の従業員をNetscape部門に充てることはできないと判断した。現行のプログラマーは、AOLの他の業務に従事する可能性があるためだ。
AOLに近い関係筋は、この情報が確かなものであることを認めた。同社の広報担当Jim Whitneyは19日、「Netscapeは素晴らしいブランドで、多くの可能性を持っている。しかし、現時点ではまだ計画の詳細を話す準備ができていない」と述べるに留まり、Netscapeに関する計画の詳細には触れなかった。
Netscapeは1994年に、この分野の先駆けであったMosaicソフトウェアのコマーシャルバージョンとして、Netscape Navigator Version 1.0を発表したが、このソフトの大流行がきっかけとなって、インターネットが広く世間に知れ渡ることとなった。
Netscapeは1995年の株式公開当時、ブラウザ市場をほとんど支配していた。また1998年時点でも、Microsoft Internet Explorerと接戦を繰り広げながら、市場で勢力を保っていた。同年にAOLがNetscapeの買収を発表したが、当時の同社の評価額は43億ドルだった。そして、折からのインターネットブームに乗った同社は、株主が買収を承認した時点で89億8000万ドルの価格を付けていた。
だが、後にTime Warnerと合併することになるAOLは、Netscapeのブラウザ開発に投入するリソースを減らし続け、その間にMicrosoftのIEがブラウザ分野を支配するようになった。
昨年MicrosoftとAOL Time Warnerの間で和解が成立し、Time WarnerがAOLのサービスにIEを使用するとした7年契約を結んだことで、Netscapeのブラウザは正式に終焉を迎えたかに思われていた。
Netscapeはこの時点で低額のインターネット接続サービスを提供しており、また1カ月に1900万のユニークユーザーが利用するポータルサイトも運営していた。またNetscapeのブラウザは過去12カ月間で1800万件のダウンロードがあったと、Lewisは人材募集のメッセージに記している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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