Amazon.comは、待望の検索エンジンのテストバージョンをひそかに始動させた。同社はこの新しいウェブナビゲーションツールで、業界大手のGoogleやYahooに挑戦する構えだ。
Amazonの独立部門であるA9は14日(米国時間)、7カ月近くにわたって開発を続けてきた検索ツールを同社ウェブサイトで公開した。この検索サイトでは、ウェブ検索結果の詳細な選別や、検索履歴の保存・閲覧ができるほか、検索語に関連するAmazonの書籍情報も見ることができる。またポップアップ広告をブロックする検索ツールバーも提供されている。
「われわれは、顧客のEコマース検索体験をさらに向上させたいと考えており、このベータバージョンを使って、わが社のユーザーから直接コメントを得ていく」とA9の広報担当Alison Dibollは述べている。Dibollは、このサイトがいつまでベータバージョンで公開されるかについては明らかにしなかった。
Amazonは昨年9月にA9の設立を発表したが、その際の説明によると、A9はAmazonおよびサードパーティー向けのショッピング検索技術を開発するとのことだった。しかし同社の野望はさらに大きなものとなったようだ。A9検索エンジンのテストバージョンでは、他の人気検索ツールに対抗するさまざまな新しい選択肢をユーザーに提供している。このサービスは、Amazonに現在登録している顧客およびA9サイトに登録したユーザーに公開されている。
A9を率いるのは、著名なコンピュータ科学者で元Yahoo最高技術アーキテクトのUdi Manber。同氏は2年前にAmazonに加わり、同社の「Search Inside the Book」機能の開発に関わった。Search Inside the Bookは、デジタル表示されたページの形で本の全文をユーザーが閲覧できる機能だ。Manberは昨夏A9に移り、現在ではソフトウェアエンジニア約20名のチームを率いている。A9のウェブサイトによると、同社はソフトウェア工学分野のさまざまなポストでスタッフを募集しているという。
A9の検索エンジンは、独自の検索技術のみではなく、GoogleやA9、Amazon、Alexa(別のAmazon子会社)の技術を組み合わせて実装されている。A9では、検索結果の右側に展開可能な列が表示され、これをクリックすると関連書籍やユーザーの検索語履歴が見えるようになっている。また、Googleのスポンサー広告も掲載される。さらにユーザーは、A9サーバに保存されたデータから、自分がどのサイトをいつ開いたかまで分かるようになっている(パーソナライズされた検索履歴を見るためには、ユーザー登録の必要がある)。
一方A9の提供するツールバーからは、ウェブやAmazon、Internet Movie Database、Google内を検索できるほか、辞書機能も提供されている。またこのツールバーには、閲覧したウェブページについてのメモを記録し、どのコンピュータからでもアクセスできるようにする目新しい機能が備わっている。
また、ブラウザのアドレスバーに「a9.com/query」という文字列と検索語を入力して、アドレスバーから直接検索することも可能となっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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