ユダヤ教の過ぎ越し祭りが始まった今週、Googleがある論争に巻き込まれている。Googleの検索サイトで「Jew(ユダヤ人)」というキーワードを入力すると、反ユダヤ主義を訴えるサイトが検索結果としてリストアップされてしまうのだ。
この論争が始まったのは数週間前。ニューヨーク在住の不動産投資家で、タルムード学院(ユダヤ教学校)の卒業生でもあるSteven Weinstockという人物が、Googleで「Jew(ユダヤ人)」をキーワードに検索を行ったときのことだ。検索結果の1件目に表示されたのは、Jew Watchというサイトだった。サイトを覗いてみると、ユダヤ人のさまざまな陰謀疑惑など反ユダヤ主義の話題が掲載されている。「Jewish Controlled Press(コントロールされたユダヤ世界のメディア)」や「Jewish Mind Control Mechanisms(ユダヤ人のマインドコントロールのメカニズム)」といったタイトルの記事が目についた。Jew Watchの管理者宛に、コメントを求める電子メールを送信したが返事はない。
Weinstockは、このサイトをインデックスから削除するようGoogleに求めるために、オンラインで請願書を作成しはじめた。5万人の同意を得られれば、Googleも求めに応じるだろうとWeinstockは考えた。6日深夜(米国時間)までに、約2800人の署名を集めた。
「Googleはナンバー1の検索サイトである。反ユダヤ主義が拡大しつつある時流を考えると、検索結果の冒頭に反ユダヤ主義のサイトが掲載されるのは自然なことと認めざるを得ない」と、Weinstockは請願書の冒頭に書いた。
Google広報担当David Kraneによると、Googleの検索結果は、被リンク数を評価するアルゴリズムをはじめ、複数のアルゴリズムの複雑な組み合わせにより決定される。請願書でどれほど多くの署名を集めたとしても、同社はJew Watchの順位を変えられないし、変えるつもりもないという。
「Googleは、複数のコンピュータアルゴリズムだけをもとにして、検索結果の順位を決定する。基本的にウェブでの人気度を反映している」とKraneは述べる。「人間はGoogleの検索結果を操作しない。検索結果を手動で変えることはできない」(Krane)
Kraneの説明では、Jew Watchの順位は、言葉づかいの変化に基づくところが大きいと言う。「Jew(ユダヤ人)」という言葉は、第二次世界大戦後徐々に使われなくなり、代わりに「Jewish person(ユダヤ系の人)」など文化的意味合いの薄い言葉が使われるようになった。さらにGoogleで「Jewish(ユダヤ系の)」、「Jewish person(ユダヤ系の人)」、「Jewish people(ユダヤ系の人々)」の語を検索すると、上位にはユダヤ系デート仲介サイトを含むたくさんのユダヤ教支持サイトが並ぶという。
しかし、この説明では納得しないオンライン組織がもう1つある。その組織は「Google爆撃」という技法を使って、Jew WatchをGoogleの検索結果から追い出そうとする活動を始めている。「Google爆撃」とは、被リンク数を順位付けの基準とするGoogleの検索手法を逆手に取った手法だ。別のユダヤ系サイトでJew Watch以上の数の被リンクを獲得し、検索結果の1位になることを狙う。Daniel Sieradskiは、影響力のある自身のBlogサイトJewschoolを通じ、読者に各自が管理する全てのサイトに「Jew(ユダヤ人)」という言葉を記載し、オンライン百科事典Wikipediaへのリンクを付すよう強く促している。
Googleが検索市場を支配し始めてから、ほかにも多くのGoogle爆撃キャンペーンが生まれている。いたずらから、殺害されたウォールストリートジャーナル紙のDaniel Pearl記者に関する認識を高めるという真剣な試みまで、内容は多岐に渡る。
Kraneは、Jewschoolキャンペーンについては初耳だとして、本件に限らずGoogleの検索結果を操作するような真似はやめてほしいと述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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