Googleは先週、ウェブベースの広告付き無料電子メールサービスについてテストを開始すると発表したが、これに関して、同社にはあまりに似つかわしくなく、エイプリルフールのジョークだと思った人が多かったようだ。
Googleの関係者は、同社のウェブメール参入の戦略的な重要性を控えめに語り、新たに発表した「Gmail」サービスは検索ベースの電子メールアプリケーションで、情報の組織化という同社の主な関心が自然に発展したものだと説明している。しかしアナリストらは、GmailはGoogleの大幅な事業拡大の先触れとなる可能性があり、あきらかにYahooやMicrosoftなどのライバルに対抗するための動きだと述べている。
Googleはまだメディア向けの説明は行っていないが、同社のウェブサイトにある説明では、全く新しいメールの利用や整理方法が示唆されている。このサービスでは、検索技術を利用してメッセージの自動整理・検索を行うことから、ファイルフォルダを使って仕分けを行う必要がない。Googleのサイトによると、Gmailは入力された検索クエリをもとに、アーカイブからユーザーが送受信したメールを探し出し、そのクエリに関連するメールのやり取りの全文を表示するという。また、1ユーザーあたり1ギガバイトのストレージ容量を割り当てるのは、ユーザーがメールを削除しなくていいようにするためだと、Googleは説明している。
しかし、Gmailには大きなリスクもあるとアナリストらは指摘する。なかでも、ターゲット広告を提供するため、メールメッセージの内容をスキャンするという同社の計画に不快感を表しているプライバシー擁護論者は、同社を細かく詮索することになる。このターゲット広告機能については、同社が長い間掲げている「悪いことは一切やらない」というビジネス方針に反している、と批判する人々もいる。
Googleは最近、ニュースアグリゲーションサイトや比較ショッピング用エンジンなどのサービスを開始するなど、検索サービスからポータルのようなサービスへと事業を広げており、同社のビジネスは今後著しく変貌する可能性がある。
「Googleが検索をここまで広く拡大解釈しようとするなら、同社はウェブベースのあらゆるサービスに参入する用意があるということになる」とリサーチ会社IDCのアナリスト、Jonathan Gawは述べている。
Googleは、シンプルで余分なもののない検索サービスで突然頭角を現し、かつてトップだったYahooを打ち負かして、現在検索業界の首位に君臨している。同社のサービスは、検索結果の関連性の高さではほぼどこにも負けない強さを誇っている。ウェブ計測会社ComScore Networksによると、今年2月のGoogleサイトへのユニークビジター数は6000万で、これは全米のインターネットユーザーの40%に相当するという。この数字は、1年前の2003年2月よりも25%近く増えている。
現在Googleは株式公開の準備を進めるなかで、今後の社運を左右する大きな岐路に立たされている。
同社はすでに強力なブランドを築いているものの、ライバル各社も持久戦に向けて準備を加速させつつある。Googleのような新興企業にとって予断を許さない状況だ。Yahooは、過去1年半の間に25億ドル以上を費やして、複数の検索関連企業を買収している。Microsoftも検索分野を研究開発計画の最優先事項にあげている。
ウェブベースの電子メールサービスを立ち上げることは、今後他社から浴びせられる攻撃に対抗するための防御として役立つかもしれない。ComScoreによると、無料電子メールサービスの利用者は1カ月あたり平均4時間をこうしたサービスに費やしているという。さらに、電子メールを提供する企業では、ユーザーが登録する際にその個人情報を取得できることから、こうした情報を使って顧客の属性や好みを知り、彼らを囲い込むことができる。
しかし、Googleへの圧力が増しているとしても、Gmailを開始することでしばらくは競合他社を守勢に立たせることになると、アナリストは指摘する。このサービスで提供される1ギガバイトというストレージ容量は、Hotmailの無料版のおよそ100倍にあたるからだ。
同社の説明によると、こうした大容量のメールサービスを提供する背景には、ユーザーが過去のメールを永久に保存し、これを効率的に検索できるようにする考えがあるという。
「こうしたサービスを広告収入でずっと提供し続けられるかどうかで、Googleは天才にも間抜にもなれる。1ギガバイトは大容量だ。当然コストがかかる」とStata Labsの創業者であるRaymie Stataは語った。同社は昨年からBloombaという電子メールの検索ツールを提供している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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