米下院の小委員会が新たな著作権法案を承認した。この法案が成立すれば、PtoPネットワークを利用した違法なファイル交換に対する罰則が強化され、インターネットでの著作権侵害に対する連邦警察の権力が拡大されることになる。
下院司法委員会の知的所有権に関する小委員会は、現地時間3月31日に「Piracy Deterrence and Education Act」(PDEA)と呼ばれる法案を可決した。この法案に対しては、インターネットサービスプロバイダ(ISP)に対して利用者の個人情報を要求できるFBIの権限を過度に拡大するおそれがあるとの反対意見が、一部の委員から出されていたが、これを押し切っての可決となった。
PDEAは、大手の著作権所有者が過去6カ月にわたって続けていた強力なロビー活動の成果で、以前に提案されたが承認されなかった、いくつかの法案を組み合わせた一種の寄せ集めといえるもの。このなかに含まれるある条項は、昨年最初に浮上したものだが、金額に換算して1000ドル相当の著作権付き作品をインターネットで公開したユーザーに対し、最大で懲役3年の実刑と25万ドルの罰金を課すとなっている。仮にPDEAが法律化してしまうと、検察側は1000ドル相当の著作権で保護された作品がダウンロードされた証拠を示す必要がなく、単にこれらのファイルが共有フォルダ内に存在し、一般ユーザーがアクセス可能な状態になっていたことを示すだけでよくなる。
今回新たに付け加えられた点としては、ISP、著作権所有者、警察の3者間での「情報共有を仲介する」ようFBIに要求していることが挙げられる。
「(この法案の起草者は)FBIの権力拡大を意図していたわけではないはずだ」とZoe Lofgren議員(カリフォルニア州選出・民主党)は同小委員会の公聴会で発言した。「私が懸念しているのは、この法案がとても曖昧なものだということだ。あまりに曖昧な表現が使われているため、血気盛んなFBIの捜査官が、これを読んで勝手な結論を出してしまう恐れがある」。LofgrenはPDEAの修正を求めていたが、4対14で否決された。
ハリウッドに隣接する選挙区の出身で、PDEAを支持するHoward Berman議員(カリフォルニア州選出・民主党)は、Lofgrenの結論には根拠がないと反論した。BermanはFBIに言及し、「FBIはこれまでずっと非常に受け身に立たされていた。彼らは権限があるにもかかわらず、それを行使していない」と述べた。
連邦議会はFBIに対し、「No Electronic Theft Act」を使ってファイル交換ユーザーを投獄するよう圧力をかけてきたが、これまでのところそのような告発はなされていない。だが31日には、司法長官のJohn Ashcroftが著作権侵害に関する作業部会の結成を発表している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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