Yahooは、これまでデフォルトで提供してきたGoogleのサーチエンジンを自社の米国サイトから外した。これにより、ウェブで最も有名な「呉越同舟」の関係に終止符が打たれることになった。
Yahooでの検索エンジンの変更は、米国時間17日の9時30分(太平洋標準時)に行われた。このタイミングで、Yahoo.comをはじめとする同社の複数の米国サイトで切り替えが実施され、これまでのGoogleの検索エンジンに代わって新たに「Yahoo Search Technology」という自前の検索エンジンが提供されるようになった。この技術は、Inktomiや商用検索プロバイダのOverture Servicesなど、Yahooが近年買収してきたいくつかの企業の検索技術を組み合わせたもの。Overtureでは、AltaVista、Fast Search、Transferといった検索エンジンを所有していた。
Yahooは今週に入り、この切り替えを公にする前から、すでに自社の検索技術を利用し始めていた。
同社は米国時間16日に、Yahooブランドのクロウラー(ロボット)を実装し、ウェブ上を巡回させはじめた。Yahooによると、「Yahoo Slurp」というこのロボットは、ウェブから文書を集め、Yahooの検索エンジンで利用するための、検索可能なインデックスをつくるという。また、このロボットは巡回したページの複製を保存し、Yahooサイトにページをキャッシュする。
Yahooはまた、自社サイトでの検索に、自前の技術を利用して得られた結果を表示し始めており、有料検索広告でもこれに切り替わっている。
Yahooでは、今後数週間のうちに、米国以外のサイトでも自前の検索技術への切り替えを進めていくことになる。
業界の観測筋は、これまでYahooの切り替えの遅れを批判してきた。同社が2002年後半に2億8000万ドルでInktomiを買収しておきながら、なかなかGoogleの技術を手放さなかったからだ。
今回の自前の技術へ切り替えは、Yahooがかつて謳歌した「ウェブの支配的な検索エンジン」という名声を取り戻そうとする同社の全体戦略の一部である。1990年代後半、Yahooは自社のルーツである検索エンジンの領域から逸脱しはじめ、ウェブ上の雑多なコンテンツやサービスを網羅した「アグリゲータサイト」になろうとした。この間に、スタンフォード大学での学術研究をルーツに持つ新興企業のGoogleが現れ、より高速でヒット率の高い検索サービスを提供しようとした。
Yahooはまもなく、Googleにとって最大のライセンスパートナーとなり、この新興企業の検索技術を、自社のアルゴリズムを利用した検索サービスに使い始めた。この契約は、最初こそYahooに有利な代替物と見られていたが、やがて世界中のウェブユーザーにGoogleの名を知らしめることとなり、おかげで「検索といえばGoogle」と皆が連想するような事態を招いてしまった。
Yahooが再び技術に注目し出したのは、商用検索サービスと出会ってからのことだ。2000年前半に、同社はOvertureと契約を結び、商用検索結果のリンクを表示しはじめた。これが成功を収め、商用検索からの収益は後にYahooの四半期ベースの売上高の20%を占めるまでになった。その結果、Yahooは昨年Overtureを買収することになったわけだが、7月の発表時点での買収金額は16億3000万ドルにもなった。
Yahooによる今回の発表は、Googleが最も包括的な検索エンジンとなったと自ら主張した、その当日に行われた。Googleは17日、自社の検索可能なウェブのデータベースに10億件以上の文書を追加したことを明らかにした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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