大手インターネット公益団体の「民主主義と技術のためのセンター(Center for Democracy and Technology:CDT)」は11日(米国時間)、米連邦取引委員会(FTC)に対し、一部のスパイウェア対策企業が詐欺的行為を行ったり、ウェブブラウザを乗っ取るなどしてネット消費者の不安を煽り、自社製品を購入させているとの苦情申し立てを行った。
CDTがFTCに提出した申立書によると、ソフト開発会社のMail Wiperと販売を担当する同社の関連会社、Seismic Entertainment Productionsは、詐欺的手段を用いて消費者に対するスパイウェア対策ソフトの販促活動を行ったという。
CDTはワシントンDCに拠点を置くプライバシー権擁護団体。同センターはFTCに対し、Spy Wiperと呼ばれるスパイウェア対策ソフトを開発しているMail Wiperと、同ソフトを販売するSeismicに対する調査を開始するよう要請した。CDTはFTCへの申し立ての中で、これらのスパイウェア対策企業2社による詐欺的な宣伝手法、あるいは「ウェブ乗っ取り」("home-page hijacking")と呼ばれる技術の今後の使用を禁じるよう求めている。
CDTは同申立書の中で、「スパイウェア対策ソフト販売を謳うさまざまな企業が、今回Spy Wiperの宣伝に使用されたのと同様の広告戦略を展開し始めた可能性があるため、今回FTCが対策に乗り出すことは特に重要な意味を持つ」と述べ、さらに「ワールドワイドウェブの使用中は、常に詐欺的広告にさらされ、また訪問したサイトによってコンピュータの設定が繰り返し変更されるおそれがあるとユーザーが信じるようになれば、インターネットの将来性が著しく損なわれることになる」と主張した。
今回CDTが申し立てを行った背景には、スパイウェア対策企業による反倫理的な宣伝手法に対して、不満の声が高まっているという実情がある。最近は、詐欺的販売活動よりもはるかに悪質な事件も数件発生している。CNET News.comは先週行った調査で、スパイウェア対策ソフトと銘打った製品が、実はスパイウェアと広く認知されているソフトを何の警告もなく勝手にインストールしているという事実の証拠をつかんだ。
その記事で大きく取り上げられているスパイウェア対策企業のSpybanは、同社のウェブサイトや、ITニュースサイトNews.comの発行者であるCNET Networksが所有するソフト集合サイト、Download.comを通じて、同社のスパイウェア対策ソフトを配布していたが、現在は配布を中止している。Download.comによると、バンドルされたソフトについての警告を掲載したにも関わらず、過去4カ月間に4万3000人以上の人々が同ソフトをダウンロードしたという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス