サンノゼ発--先頃カリフォルニア州知事に就任したArnold Schwarzeneggerは5日(米国時間)、シリコンバレーの企業幹部に対して、厳しい経済の実情を語り、もし自らが提案する回復計画を実施しなければ、悲惨な状況が訪れると訴えた。
同氏は、代表的なIT企業数十社のCEO(最高経営責任者)と会見し、カリフォルニア州のビジネス環境を好転させるためのアイデアに耳を傾けると共に、自らの経済政策を売り込んだ。
Schwarzeneggerは、これまで公の席で述べてきたメッセージを今回も繰り返しただけで、シリコンバレーやハイテク業界に関する発言は特に行わなかった。そして、自ら提案中の経済回復政策が有権者に採択されなければ、カリフォルニア州のあらゆる企業が困難な状況に陥ると警告を発した。同氏は現在、債券に関する法案(提案57号)と支出制限を求める法案(提案58号)を提案している。
「もしこの法案が通らなければ、結果は厳しいものになる。悲惨な状況を招くことになるだろう」(Schwarzenegger)
Schwarzeneggerの発言に先だって、同州財務次官のSteve Westlyは、カリフォルニア州が現在すでに存在しないドットコム企業がたどったのと同じ運命に直面していると警告した。インターネットオークションeBayの元最高幹部だったWestlyは、「私はいま世界で6番目に大きな経済を持つこの州のCFO(最高財務責任者)を務めている。この仕事は実に驚くべきものだ」と述べ、さらに「端的にいうと、6月16日に財源が底をつく」と付け加えた。
今回のSchwarzenegger州知事の訪問は、Adobe Systemsのサンノゼ本社で開かれた、Silicon Valley Manufacturing Group主催の講演会に便乗したものだ。同グループは、IntelやHewlett-Packard(HP)をはじめとする主要IT企業が参加する業界団体で、この講演会では、シリコンバレーのIT企業幹部に対して行った調査の結果を発表することになっていた。
この調査の結果はといえば、決して希望の持てるものではなく、調査対象となった100人のCEOのうち、自社の今年の雇用状況は停滞もしくはマイナスと答えた者が大多数を占めた。さらに、5人のうちの4人までが、同州の法律は企業にとってますます都合の悪いものになっていると答えている。
この調査報告では、サンノゼ近郊での住宅費が高いこと、そして雇用者の負担する健康保険や被雇用者への補償費用が急激に上昇していることが、主要な問題点として指摘されている。これらの問題は、Schwarzeneggerが昨年のリコール選挙の際に掲げていたものだ。
電子機器製造メーカー、SolectronのCEOであるMichael Cannonは、「被雇用者の補償に伴う費用が、シリコンバレーの全ての企業にとって、いっそうの負担になっている。全米と比較しても、カリフォルニアでは被雇用者の補償に対する支払額が最も多いが、逆に労働者が受ける恩恵は最低のレベルだ」と語った。
IT企業各社の幹部は、Schwarzeneggerのリーダーシップに、本物の期待をかけているようだ。
Schwarzeneggerの講演を聴いたAdobeのCEO、Bruce Chizenは、「知事のいうアプローチがとても政治家臭くないことに、うれしい驚きを感じている。知事が、州にとって本当に重要だと考える問題については、必要ならどんな手を使ってでも解決しようとするのではないかという感触を得た」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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