「沈黙は金なり」と言うが、今ではiTunesのおかげでこれがわずか99セントでダウンロードできるようになっている。
Apple Computerのオンラインミュージックストアで販売されている数十万曲の中に、音のないものが少なくとも9曲あり、これがかなりの議論を呼んでいる。この音の聞こえない音楽トラックの話は、As The Apple TurnsというMacのファンサイトで今週に入って話題になっている。
同サイトが記しているように、Appleではこの無音の曲をほかの通常の曲と同じように扱っている。この無音の音楽トラックも、ほかの曲と同額の99セントで販売されており、30秒の無償「プレビュー」も用意されていて、さらに違法コピーを防ぐためにAppleが通常利用するデジタル著作権管理ソフトウェアで保護までされている。
さらにおかしいのは、これらのトラックのうちの3つはヒップホップグループのSlum Villageの作品で、すべてに「Silent(無音)」というタイトルが与えられ、無音であるにもかかわらず「生々しい描写あり(explicit)」との注意を促すラベルが付いていることだ。しかも、音のないことがあまりにきわどい表現だと感じる人向けに、iTunesは「問題のない(clean)」バージョンまで用意している。
無音の音楽トラックは、ほかにもCiccone Youthの「The Whitey Album」からの1曲である「Silence」、Bill Schaefferの「Grain of Sand」からカットした「Silence」、シングルのみ発売されているProject Grudgeの「One Minute of Silence」などがある。
また、一番のお買い得をお探しの方には、ほかの曲の約2倍となる2分近くもの無音を収めたSchaefferの曲をお勧めする。
Appleによると、曲の大半はアーチストがアルバムの一部として意図的に無音を入れていて、レコード業界が販売可能な音楽トラックの形でこれらの曲をAppleに提供したためだという。ほかの音楽ダウンロードサービスにも無音のトラックはあるが、一見した限りではiTunesほどのレパートリーを揃えているところはない。
Appleから無音の曲が何曲売れたか聞き出すことはできなかったが、歴史的に見ると無音の曲にも市場はある。最も有名なのは、John Cageが1952年に作曲した「4'33」という曲で、4分30秒間ほど無音を聴かせるものだ。BBCでは、何とBBC交響楽団の出演で、今年初めにこの曲のライブ中継を行っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」