Microsoftは、ブラウザのプラグイン技術に関する特許が、Eolasという企業に認められた裁判の結果を受け、WindowsオペレーティングシステムとInternet Explorerウェブブラウザに修正を加える計画だったが、このほどこの修正を延期することを明らかにした。
Microsoftは米国時間29日に声明を発表し、上告もしくは特許の無効申請の問題が解決するまで、先に発表していた変更の実装作業を延期すると語った。
ウェブソフトウェアベンダーのEolas Technologiesは、1999年にMicrosoftを提訴した。Internet Explorerでプラグインなどの外部ソフトウェアを使用可能にするソフトウェアは、同社とカリフォルニア州立大学が共同所有する特許を侵害しているというのが提訴の理由だった。
そして、昨年8月にイリノイ州シカゴの連邦裁判所がEolasに有利な判決を下し、Microsoftに5億2100万ドルの損害賠償の支払いを命じていた。
この判決は2週間ほど前に改めて支持されたが、同法廷の判事は罰則の適用をMicrosoftの控訴審後まで延期した。今回の罰則には罰金のほか、IEや、Eolasの特許を侵害するソフトウェアのすべてのバージョンをMicrosoftが配付することを禁じる命令が含まれており、この措置によって多くのウェブサイトが圧倒的なシェアを持つIEに対応できなくなってしまう可能性がある。
Microsoftは当初、IEとWindows XPにわずかな修正を加え、争点となった技術を回避するとしていたが、29日に声明を出し、これらの計画を見合わせると述べた。
「Microsoftは、裁判の現状やパートナーおよび顧客からの要望を考慮し、8月に下されたEolasとの特許訴訟に対する陪審員の判断を受けて進めるつもりだったWindowsやInternet Explorerの修正に関して、当面このような控えめな行動には出ないことにした」(声明)
Microsoftは声明の中で、提案した変更を実装すれば、ウェブ開発者などソフトウェア企業には不便なことになり、また米国特許商標庁がEolasの特許を無効にすると、この修正も不要になってしまう。Eolas特許に関しては、同様の技術はほかのだれかがEolasより先に開発しているとの申し立てを受け、同庁ではめったに行わない再調査が開始されている。
「特許商標庁のこの行動により、Eolasの特許が取消される可能性もある。このような状況を考慮し、かつ業界他社ならびに開発者と相談の結果、Microsoftは当面Internet Explorerのアップデート版をリリースせず、また昨年10月に発表したWindows XPサービスパック2への変更計画も見合わせることとした」(同社声明)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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