Yahooの行う会計手法の変更が、14日(米国時間)には注目を集めそうだ。この日、ウェブ広告業界の代表的存在である同社は、最新の四半期決算を報告することになっているが、これは16億ドルを払って手に入れたOverture Servicesの買収完了以降、初めて行う決算となる。
アナリストらは、Yahooの発表する数字は好調を示すものになると予想している。米First Callが集計したアナリストの予想では、一部の項目を除いた2003年第4四半期の決算は、売上高が4億9550万ドルで、1株当たり11セントの利益になるという。なお同社の前年同期の決算は、売上高が2億8580万ドルで、1株当たり利益は8セントだった。
予想される数字は前向きなものだが、それとは別にYahooでは、財務内容が複雑なものになると覚悟を決めている。これは、Overtureの数字を含むことからくるもので、同社の広告を掲載するサードパーティへの支払いという形で、多額の経費が発生するからだ。Overtureは、第3四半期にYahooとMicrosoftのMSNを通じて発生した広告収入の5分の3を、この2社に払い戻した。トラフィック購入費(TAC)と言われるこの支払いは、Googleとの競合が激化するのにあわせて、着実に増加してきている。
「Overtureは、単独事業としては勝つ見込みのない状況にあった」というのは、Pacific Growth Equitiesのアナリスト、Derek Brown。「粗収益に対するTACの比率が、急激に増加していたのは明らかだった」(Brown)
Yahooは、この件についてのコメントを控えた。だが、同社の幹部は、TACの支出が増えつつあることをあまり大げさに言われたくないようだ。
YahooはGAAP(一般会計原則)に基づいて財務報告を行う。これには、TACのような収益も含まれる。だが同社は、トラフィック購入費は同社の真の財務状態を歪曲するとして、TACを支出に含むのではなく、収益合計から除外するよう、アナリストに対して主張している。
これに対して、アナリストのなかには、Brownをはじめとして、Yahooの会計手法変更に静観の構えを見せる者もいる。この変更で、GAAPに沿って勘定した場合よりも、Yahooの利益率が高く見える可能性があるというのが彼らの言い分だ。だが、多くのアナリストは、当面の間はYahooの言い分のほうに従うことにしている。ちなみに、First Callの集計する予想値は、売上高からTACを差し引いたものとなっている。
今回Yahooが行う会計手法の変更は、昨年以来同社のビジネスが回復基調にあるなかで実施されるものだ。この復調の要因としては、企業買収による売上の増加や、オンライン広告市場が回復し始めたことなどが挙げられる。Yahooは、検索エンジン事業からの利益に支えられて、現在投資家から熱いまなざしを向けられる存在となっており、株価は過去52週で最高となるところまで上昇し、13日には一時的だが50ドルの大台を突破した。しかし、株価収益率は146付近で推移しており、Yahooの株価はすでに合理的な期待値を上回るレベルに達しているのかもしれない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」