米リアルによる米MS提訴--さまざまな要因が絡み合った挙げ句の行動?

 米RealNetworksと米Microsoftの仲は、ここ何年かよそよそしいものであったが、米国時間18日に起こされた独占禁止法訴訟において、両社の対立が頂点に達したことに関係者は驚きを隠せないでいる。

 アナリストらは、Realが今こそ行動を起すべきだと決めた理由がいくつかあると述べたが、その1つにはEUがMicrosoftを調査の対象にしていることがある。EUによる調査の焦点は、Windows Media Playerに関する異議申立てを含むが、これはRealの告発に似ている。

 「いまはとても興味深い時期だ。というのも、RealNetworksは欧州での裁判の状況を熟知しており、、しかもあちらではいまMicrosoftは弱みを見せているという認識がある」と、米Harvest Equity Research上級アナリストのJacob Kaldenbaughは述べている。

 Kaldenbaughによれば、Realは米国の独占禁止を取り締まる監督機関が行動を起すことを期待しているとのことだが、米司法省が見せる現在の企業重視の姿勢、並びに長引く反欧感情を考えれば、そのような介入はますますあり得ないという。

 「Realは、米国当局が欧州での動きを注視し、それに便乗することを期待していたと思う。しかし、E.U.の強硬な姿勢を示せば、かえって逆効果になるかもしれない。市場での競争をどう見るか、また市場をどのように規制するかに関して、欧州と米国の監督機関はうまくいっていない」(Kaldenbaugh)

 調査会社米Directions on Microsoftのアナリスト、Matt Rosoffも、Realが欧州での告発を足がかりにしたいと望んでいるという点では同意見だ。「Realは、欧州の状況を見守っており、しかも今後充分な進展は見られないと考えているかもしれない」と同氏は述べた。

 しかし、Microsoftが米Apple ComputerのiTunesやRealのRhapsodyに似たオンラインストアで、ますます乱立気味のオンライン音楽事業に進出すると決定したことも、同じくらい重要な提訴の理由かもしれない。

 「コンテンツダウンロードビジネスに、真剣に進出するというMSNの発表を、おそらくRealは大きな脅威と受け止めたに違いない」と、Rosoffは述べた。

 調査会社米Envisioneering Group社長のRichard Dohertyによると、Microsoftの現行OS、Windows XPの次期アップデート版リリースが近づいて来ていることも、Realが行動を起こしたタイミングに関して、もう一つの重要な要素かもしれないという。Microsoftは、Windows XP用の一連のパッチとアップデートをまとめた、2番めとなるサービスパック(SP2)のベータ版を、米国時間17日にリリースした。このアップデートによる変更の一部は、Realや他のストリーミングメディア会社に、損害を与えることになるかもしれない、と同氏は述べている。

 「たぶんRealは(SP2の)ベータコードのなかに何か(問題と思えるもの)を見たのかもしれない、そしてその何かによって競争が不公平なものになるような事態を目にしたくなかったのかもしれない」(Doherty)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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