米Apple ComputerのiTuneのような、新しい音楽サービスブームの第一の波が落ち着きを見せつつある中、レコードレーベル各社とIT企業は、オンライン音楽サービスを収益性のあるビジネスに変えようと悪戦苦闘を続けている。
米ロサンゼルスで12月8日に開催されたiHollywood Forums Music 2.0で、音楽・IT双方の分野を代表する各社の幹部は、ダウンロード楽曲の標準価格になりつつある99セントという価格に焦点を当てた。
批判派は、レコード業界が、もし大勢を占める消費者を相手にしてたくさんの曲を販売し、ネットを柱となる収入源にしたいと考えているなら、この価格を引き下げなければならないと述べた。これに対し、レコードレーベル各社は、これ以上価格は下げられないと反論した。
米Universal Music GroupのeLabs部門社長、David Ringは、「まず第一に、これには儲けがない」と述べる。「レコード会社に収益をもたらし、アーティストが生計を立てられるようにするためには、99セントのシングルを大量に販売しなければならないことをすでに認識している人は多くいる」(Ring)
どんな緊張状態が続いているにしろ、レコードレーベル各社とIT企業の関係が過去数年間で飛躍的に向上したことは明らかだ。クリスマスのショッピングシーズンに向け、大手音楽会社の祝福を受けた数多くの企業が、初めてデジタル音楽のダウンロードや登録会員向け有料サービスなどを提供している。
これは、AppleのiPodや韓国Samsungの出したNapster向け端末などの、携帯型音楽プレイヤーの販売にも追い風となる。音楽業界は過去3年間大幅な収益の減少を続けてきており、各社の幹部は、こうした製品やサービスをきっかけとして消費者がオンライン、オフラインを問わず音楽購入に関心を持つようになり、最終的に業界各社の収益上昇につながることを望んでいる。
実際、ダウンロードサービスを提供している各社では、値下げへの圧力はいくらか感じているものの、音楽好きなユーザーが99セントという価格を受け入れつつある印を目にしている。Appleは8日、iTuneのサービス開始以来7カ月足らずで、2000万曲を販売したと発表している。
オンラインでの購入パターンも生まれつつあり、この新しいサービスに共通する基本原則を示している。Appleのマーケティング・ディレクター、Peter Loweによると、iTunes Music Storeでは、ダウンロードされた楽曲の45%がアルバムだったという。
これは、アラカルト式の選択よりも、多くの楽曲や、あるいはアルバム全曲を購入することにいまだに関心を抱くユーザーが多いことを示唆するものだ、とLoweは述べている。
米NPD Groupが実施した別の調査では、iTunes Music Storeが営業を開始してから最初の4カ月間に、このサービスを利用したユーザーは、一般の小売店を利用する消費者よりも多くの曲を購入していることもわかった。iTunes Music Store の利用者はこの期間中平均で49曲をダウンロード購入した(ひと月あたり約1枚アルバムを買った計算になる)。これに対して、平均的な10代の消費者は、2カ月に1枚のペースでCDを購入した、とNPDのバイスプレジデント、Russ Crupnickは説明している。
だが、Macユーザーの動向は、市場全体の動きを表してはいないのかもしれない。Apple製品の購入者は、PCユーザー全体と比べた場合、収入も多く、技術的にも洗練されているという傾向があり、またMacにはこれまでそれほど無料のファイル交換サービスがなかったからだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したも のです。
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