オンライン音楽ファイル交換サービスの利用料として、インターネット接続サービスの加入者から料金を徴収するとの提案がなされ、米国とカナダで注目を浴びている。
カナダの作詞(作曲)家や音楽出版社を代表する業界団体が3日(米国時間)、同国の最高裁判所前で、現在空のテープやCDに課されている税金と同様の料金の支払いを国中のインターネットサービスプロバイダ(ISP)に課し、集めた料金を広く行われている音楽ファイルのダウンロードによって損害を被っている著作権者への補償に当てるべきと主張した。
いっぽう、ピア・ツー・ピア(PtoP)ネットワークを推進する業界団体、Distributed Computing Industry Association(DCIA)は2日、ロサンゼルスで、最終的にファイル交換ネットワークにケーブルテレビと似たサービスモデルを認める関連案を提案した。DCIA提案では早い段階で、ISPにファイル交換ソフトユーザー全員から料金を徴収させ、集めた金をレコード会社、アーティスト、音楽出版社に分配するという。
現在、ファイル交換ネットワークを利益率の高い音楽の販売経路に転換するための3つの代替ビジネスモデルが計画されており、DCIA案はその中の2番目に当たる。DCIAは、レコード会社、ISP、ファイル交換サービス企業を一つにまとめ、今日までPtoP業界を支配していた法的論争を終結させるため、話し合いをさせようと努力している。
DCIAのエグゼクティブディレクター、Marty Laffertyは「我々は他の人々の考えをつなぐパイプ役だ」と述べた上で、「我々は有力な3つの提案をまとめようと努力しており、1月までにその取り組みを開始したいと考えている」と語った。
各提案には、学会で幅広く議論されてきたファイル交換についての考えの様々な側面が盛りこまれているが、大手音楽企業の大半はこれらの案を受け入れなかった。
広範な内容の「強制ライセンシング」案は、オンライン音楽ファイル交換を音楽の小売販売というより、ラジオでの試聴に近いものとしてとらえる。レコード会社はオンライン音楽ファイル交換の認容を求められるが、代わりに代償を受け取る。これはちょうど、現在作詞(作曲)家が、米国内のラジオで曲が放送される度に、その代償を受け取るのと同じような仕組みだ。
DCIAは、ファイル交換者のISPの月額利用料に5ドルを上乗せし、集めた金を主に著作権者に分配するよう提案した。Laffertyによると、この計画では、たとえ一部のPtoPユーザーがファイル交換ソフトの利用を止めても、年間およそ25億ドルを調達できる可能性があるという。
この計画では、各ISPはPacketeerなどのネットワーク管理会社が販売する、加入者が利用しているアプリケーションを特定するためのソフトをインストールする必要がある。Laffertyによると、加入者から徴収する料金の一部を、それらのソフトの導入資金として各ISPに提供するという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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