ファイル交換(PtoP)やオープンソースの擁護者を結集して、政治勢力をつくり上げようという非営利団体が、今週インターネット上で活動を開始する。
MTV世代の若者に大統領選挙への投票を呼びかけ、成果を上げている大々的なTVキャンペーン、「Rock the Vote」の名を借用した、「Click The Vote」という名を名乗るこのグループは、デジタル著作権/コンピューティング関連の問題を、2004年に行われる大統領選の争点にしたいと考えている。
このグループは、まだ特定の政策は支持していないものの、これまでに発表した声明のなかでは、アーティストに著作権料を支払うメカニズムを備えた音楽ファイル共有の合法化や、Microsoftらが推す「Trusted Computing(信頼できるコンピューティング)」構想の向こうを張った「Open Computing(開かれたコンピューティング)」構想への支持を表明している。同グループは、デジタル化が進む今日の世界においては、これらの技術的問題を政治問題として捉えるべき、と主張する。
「民主主義がここまで発展したのは、開放政策と自由な言論のおかげだ」と語るのは、Click The Vote運動を組織したJohn Parres。Parresはかつて、ハリウッドの陰の実力者といわれたMichael Ovitzの顧問を務めた人物で、デジタル音楽についての有力な電子メール討論グループ「Pho」の共同設立者でもある。「我々は物事が誤った方向に進んでいること、我々が閉ざされたコンピューティング、言論の暗号化に向かっていることに懸念を抱いている。こうした動きは、民主主義の発展に寄与しない」(Parres)
今年米国では、大統領候補Howard Deanの選挙運動や政治活動委員会MoveOnの募金活動など、インターネット上で組織されたいくつかの運動が盛り上がりを見せており、同グループもこの勢いに乗じたいと考えている。
Click The Vote運動のターゲットは、技術的な知識の豊富なファイル交換者やオープンソースプログラマーたちで、最も代表的なのは、桁外れのアクセス数を誇る技術関連ニュースサイトSlashdotに集まるコミュニティの参加者たちだ。Slashdotは、数あるオンラインサークルの中では目立つ存在だが、まだ強力な政治勢力とは見られていない。
Parresによると、Click The Voteにはスポンサー企業はついておらず、運営費は主に寄付金で賄っていくという。しかし同グループは、政治献金によってではなく、有権者を奮い立たせることによって、その影響力を行使する戦略に注力したいと考えている。
Parresは「世間にはエネルギーが溢れており、我々はこのエネルギーに注目し、さらにそれを強化・発揮することによって、これらの問題解決を図ろうと考えている」と述べ、さらに「問題解決のために必要なのは、人々が声を合わせて立法者と対話を始めることだ」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス