ディー・エヌ・エー(DeNA)は12月2日、同社が運営するオークション&ショッピングサイト、ビッダーズの開設4周年にあたって記者会見を開催し、今後のビジネス展開について説明した。なかでも同社は携帯端末に向けたコンテンツへの取り組みを強化するとしており、11月28日付で同社の株式20%を携帯コンテンツ会社のインデックスが取得したことを発表した。
現在ビッダーズの会員数は210万人以上、1日平均2000人強の会員登録があり、出品数約95万品、ページビュー1日約800万、ユニークユーザー月間400万人となっている。DeNA代表取締役の南場智子氏によると、「今年1月の数字を100%とした場合、10月には会員数が142%、ページビューが162%、ユニークユーザーが181%、取扱高が146%にまで増加した」という。
今回インデックスが取得した20%の株式は、DeNAの筆頭株主であるソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)の保有株式の一部。取引金額については発表されていない。依然としてSCNが筆頭株主であることは変わらないが、インデックスはSCN、創業者グループに次ぐ大型株主となる。南場氏は、今後の携帯分野における事業プランはまだ固まっていないとしているが、「まずショッピングサイトに注力していく。来春にはいくつかのサービスをはじめる予定だ」と述べた。
DeNAがショッピングサイトに注力するにはわけがある。同社のショッピングサイトにおける店舗の取扱高は前年比で2倍となったことに加え、同社が2001年5月1日に開始した法人ショップ向けのサービス、クラブビッダーズでの入会金や出店料、広告などの収入は、いまや同社の収益の35%を占めるまでに成長したのである。
DeNA代表取締役の南場智子氏
南場氏は、電子商取引推進協議会のデータを元に、モバイルコマース市場が2002年の3210億円から2007年には1兆7760億円にまで拡大すると述べ、「携帯サイト特有のノウハウが必要となってくる。そのためにインデックスとの提携に踏み切った」と語る。携帯向けコンテンツの提供ではサイバードなども有名だが、「携帯コンテンツの企業では、インデックスがトップ企業だと考えている。またインデックスは、自社ですべてを行うのではなく、他社とうまく提携して事業を展開することが大変得意な会社だ。共同で事業展開するには最適なパートナーだと思う」と南場氏。DeNAでは、インデックスより役員を迎え入れることも視野に入れているという。
今後のビッダーズは?
携帯向けコンテンツに力を入れることに加え、5年目を迎えたビッダーズでは、安全性を維持することや、リサイクル・リユーズに対して総合的な取り組みを行うこと、ペットカテゴリーを強化することなどを今後の目標としている。
安全性に関しては、審査システムや出品の際のチェックの強化、さらには取引ルール違反の取り締まりも行う予定。また同社では個人情報委員会を設立し、個人情報の取り扱いについては細心の注意を払うとしている。社員に個人情報の取り扱いに関する認定試験を取得させることも既に実行している。
リサイクルとリユーズに対する総合的な対応の具体案としては、同社のビッダーズと、2001年11月より開始したリサイクル総合情報サービスサイト「おいくら」をつなげる仕組みを考えているという。おいくらでは、オークションで個人に対して売る際に人気が薄くなる中古テレビや冷蔵庫などの大型商品を登録、最寄りのリサイクル店に見積もり依頼が送信されるというサービス。南場氏は、「これまでリサイクル品の処理方法として、ビッダーズで個人に売り、おいくらで業者に売るという方法があった。今後はこの2つのサービスを組み合わせ、ビッダーズで売れなかった場合はおいくらに紹介するなど、不要品処分のニーズに対するワンストップソリューションを提供していきたい」としている。
ペットカテゴリーは、取扱高が1年で3.5倍にも成長した分野。なかでも「犬」や「昆虫」などの取扱高は、前年同期比でそれぞれ5.3倍、6.2倍にまで成長している。ネットでペットを取引するメリットについて南場氏は、「(特に犬に関して言えることだが)捨て犬問題の改善につながり、成犬を取り扱うことも可能。また、幼犬流通の際に犬が受ける展示のストレスや、伝染病などのトラブルの軽減にもつながる」としており、今後も出品者の質の向上を目指すとともに、専用窓口を設置してトラブル軽減に向けた体制を整えるとしている。
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